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◇そう言う事じゃない◇
しおりを挟む翌朝は回復魔法のおかげか、気分爽快。どこも痛くない。カズ君こんなに凄い魔法使えるなら、今までも苦労する事無かったんじゃ無いの?瞬間移動だって使えるんでしょ?聞いてみたら、麒麟のお城で魔法を習うまでは使えなかったんだって。ふ~ん。ねえ?魔法って私も使えるの?
魔法は誰でも使えるけど、魔力量によるんだって。この世界では、魔力持ちは少ないらしい。魔力持ちはやはり王族に多い。しかし近年は、魔力が少ない所か無い王族も多い。異世界人の私には、魔力は無いそうだ。まあ日本には魔法自体が無かったからね。
実は王族には、異世界人の血が混じって居る。ミッシング・ビジター(失われた来訪者)と言われ、太古には異世界人が突然この世界に現れる事が有った。この異世界人と当時の王が恋仲になり、王は彼女を王妃に迎えた。故郷を懐かしむ彼女を愛するあまり、王はゲートを開発した。そして彼女の家族を呼び寄せた。当時の王族は、王も含め殆どが魔力持ちだった。だが飛び抜けて魔力が多い訳では無かった。しかし異世界人と子を成した王の魔力は格段に増えた。しかも生まれた子供もかなりの魔力持ちだった。その巨大な魔力量のおかけで、神々が関与せずとも全て人間だけでゲートの管理を成していた。呼び寄せた異世界人は、本人が望まなければ元の世界に戻して居た。だから神々も傍観していた。呼び寄せられた家族は困惑したが、皆無難に天寿を全うしたらしい。
しかし時が流れる内に異世界人の血が薄まった為か、巨大な魔力を持つ王族が産まれなくなった。更には魔力を持つ人間さえも減少していった。古の書物でゲートの謂れを知った王族は、可能な限りの魔力を使い、あらゆる理由付けをし、異世界人を呼び寄せた。しかし魔力は無限では無い。また古の様には高度な召喚魔法を使えない。呼び寄せても中々上手く行かない。ゲート前以外に落ちた俺やお前を見付けたのは、召喚魔法の精度が低すぎてゲートから弾き飛ばされたり、失敗して呼べなかったりも有るからだ。そして何度か異世界人との子を成した王族も居た。しかし魔力持ちは1人しか産まれ無かった。その失敗をふまえ、王族は気付いたんだ。異世界人側が処女で産む側で無くてはならない事にだ。他は全て失敗したんだよ。
そんな謂れが有ったんだね。確かに離れに居た異世界人は、殆どが適齢期過ぎてる感じだったよね。若い女の人って、ナミさんしか居なかったよ。ん?でも何で解ったんだ?
《ねえ、カズ君?何で私が処女だと解ったの?ナミさんの事もだよ。何か魔法とか、ラノベお得意の魔道具とか有る訳?それに何故カズ君は放置されたの?》
〈いや、以前は有ったらしいが今は無い。判別の魔法を使える程の魔法使いが居ないし、魔道具作りの技術も既に失なわれてる。〉
《じゃあ何故解った訳?私が清楚で可憐だから間違いないと思ったのかな?》
〈ぶっ。それは無いんじゃね?多分気を失ってる時に、王子達が医師に調べさせたんだろうな。ナミさんが跨がったら、先に調べさせろっ!て言われて無理矢理調べられたそうだぞ。〉
笑ったな・・・。しかしアイツら何て事しやがるんだ!
〈後、胎児の魔力持ちを判別魔道具は、国宝として残ってるんだよ。妊娠6ヶ月までなら判別出きるそうなんだけど、母は小柄で妊娠が解り難かったらしい。既に産み月近くでも、とても6ヶ月にも思えない大きさだったそうだ。王家が妊娠に気付いた時には、既に6ヶ月は過ぎて居た。
だから魔道具で判別した時は、魔力無しと出たらしい。6ヶ月を過ぎると胎児がの体内の魔力袋が完成されてしまう。完成すると、胎児用では判別出来ない。一般用の判別魔道具が必要だ。これも宝物庫に有るけど、道具に込める魔力量が多すぎて使えないらしいよ。だから魔力無しと判断され、母子共に離れに打ち捨てだよ。まあおかげで計測時期がずれ込んだ事に気付かなかった訳だけどな。〉
《王族って本当に碌でなしばかり何だね。》
〈いや、碌でなしは男の王族だけだよ。王妃様や姫さんは良くしてくれたよ。離れの異世界人に、食事や身の回りの事等を手配してくれたのは王妃様だ。俺が産まれる時には、王に隠れて産婆を派遣してくれたそうだ。姫さんはミルクや育児用品を用意して、隠れて運搬してくれたそうだ。俺とも遊んでくれてたそうだよ。王に見つかり離されたそうだけどな。その頃には、母は既に心を病んでた。育児何て殆ど出来なかったらしい。ああ王太子もまともだよ。只少し気が弱いんだよ。王の言う事に逆らえない。政治的な事は全てあの方がしてる。影の王だよ。臣下もしっかりしてるし、王と王弟、双子王子達を排除すれば、あの方が次の王で大丈夫だと思うよ。〉
ならカズ君が王太子を支えてあげたら良いんじゃないかな?でもこれは私が言うことじゃ無いね。
《そうなんだね。なら王妃様や姫様。王太子様達は、鍵集めに協力してくれそうなのかな?》
〈鍵の話は王妃様に聞いたんだ。勿論、王妃様は協力してくれるそうだよ。だから王妃様、姫さん、王太子の3本は大丈夫だ。王の分も、ゲート破壊の決行日が決まれば、王妃様が掠めてくれるそうだよ。難関は王の腰巾着の王弟と双子王子だろうな。王弟はナミさんに言い寄ってたらしくて、ナミさんが任せて!て言ってたよ。〉
言い寄られてるなら、ナミさんのスキルでイチコロだね。
《なら最難関は、やはり双子王子か…。私のお色気といやんスキルでいけないかな?》
〈お色気は無理だろ?しかももう処女じゃ無いぜ。〉
《そんなのしてみなくちゃ解らないじゃん!処女だってバレなきゃ大丈夫じゃ無いの?変な性癖で執着してるみたいだし、私だって色仕掛け位頑張ってみるよ!》
〈それは拐われた時に聞いたから知ってるよ。因にあの時お前を味見すると言ってたのが、宰相(王弟)だよ。一緒に居たのが王宮筆頭魔導士だ。知ってるからこそ色仕掛け何てさせたく無いんだよ。〉
《そんなのスキル有るから大丈夫だよ?》
〈そう言う事じゃない!油断してて、また封じの魔道具とか出されたらどうするんだよ!あの魔導士はそこそこの魔力量だ。数日力を注げば、前回と同じ魔道具位なら起動させられるんだよ。込める魔力不足で使用されては居ないが、王家の宝物庫には魔道具が沢山有る。失われた技術。所謂アーティファクトだ。それらを起動出きる様に用意されてたらどうするんだ?〉
《考え無しでごめん。》
〈俺こそ怒鳴ってごめん。心配なんだよ。本当はもう王子達に何て会わせたく無いんだ。少しは俺にも格好付けさせてくれよ。〉
《うん。本当にごめん・・・・・。》
ん。ちょと何でまた腰さわさわしてるの?真面目な話になっちゃったけど、今のは夜明けの甘いピロートークじゃ無いの?もしかしてまたするの?あっ・やんっ。あ・あぁん・・。気持ち良いだろ?そんな事聞かないでよっ!確かに気持ち良いよっ。あっ、そこやっ!いやあんっ。お前の良い所はもう解ってる?確かにそうだねっ!王子達に媚薬盛られた時にも言ってたよね!
でももう朝だよ~。起きようよ~。素直に謝るお前が可愛くて優しくしたくなった?なら止めようよ?私のお願い聞いてくれるのも優しさじゃ無いの?いや違う?煽られて大事な時に優しく出来なかったから、今から優しくリベンジさせてくれ?いや~。それは夜でいいから~。ゆっ指いや~。舌はもっとイヤ~。舐めないで~。
ちゅっ。くちゅっ。チュッ。ちゅばっ。チュー。くちゅり。
《あ・・あっ・あん。やあぅっ。あふん・・ゃぁ・・》
結局初夜からぶっ続けで、2晩ベッドの中でしたよ・・・。
いやんスキルが発動しない?拒めないのが恥ずかし過ぎるよ。
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11/22連載開始。12/15日完結。6話よりH描写入ってます。お読み戴き有り難うございました。
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