3 / 18
②
しおりを挟む貴族だって何年経ても後継に恵まれない場合など、特別な理由が無ければ側室や愛妾などはわざわざ求めない。まあ例外もいるけど!一夫多妻なのは、政治的に他国との政略的結婚が必要な、王家や公爵家くらいよ。それも必要なければしないしね。
ちなみに現王には王妃様のみ。王妃様と婚姻したばかりのころ、王は他国の姫に無理やりいいよられたことがあった。しかしもしその姫と婚姻し王子を出産すると、自国の侯爵家の娘であった王妃が蔑ろにされる恐れがある。また先に王妃に王子を授かっても、姫の国が王位継承権に口を挟む恐れがある。
どうやらその姫の性格に難があり、面倒を察した王は断固として断ったという。しかしこのお姫様も凄いの。かってにお城の客間に居座り、王様に夜這いをかけまくり、王妃様に悪戯を仕掛けまくり。そんな姫を可愛い我が儘だと、自国の親も見て見ぬふり。
最後には王に媚薬を盛ったとして強制送還。王は媚薬でフラフラになりながらも、姫を突き飛ばし王妃様のお部屋に逃げ込んだそう。
その後は……想像にお任せ致します。
つまりね?なにが言いたいのか?そうなの。鍛えて細マッチョになったブライアンには、政略結婚の釣書が山積みなのよ。お屋敷にも自称愛人や、昔お手付きになったという女性がワラワラ。さらには『ブライアン様! この子は貴方の子です! 』なんてのも……しかし皆さま逞しい。その子はブライアンが幾つの時の子?下手したら貴女が幼児虐待よ?本当に馬鹿すぎる。絶対にバレるのに……王家と我が家の諜報をなめてはいけません!
ブライアンのお初は、ローズマリーに喰われました。それまでキスはおろか、女性と手を繋いだことも有りませんでした。もちろん今は反省し、後ろ暗いことは一切していません。
ちなみに現在婚約者はいません。
あのね?諜報って凄いの……ある日何時何分にどこどこで声をかけられ、ここの茂みでキスを奪われ、恋人繋ぎで頬を染めてた!とか……。何時何分に部屋に入り、何時何分に部屋をでたとか!しかも密室であるはずの部屋の中での細かなことまで報告されているの!
だからね?そこで喚いている君たち?そのお嬢さんのお腹の子は、絶対にブライアンの子では有りません。以前我が家でメイドをしていた?あり得ませんね。我が家のメイドたちは、すべて子爵家以上の子女たちです。私が知る限りでは、メイドに男爵家の方はいません。
これは決して差別をしている訳ではなく、メイドになるにも選抜試験があるのです。するとどうしても、公式の場に出る機会のある方が強いのです。国王様主催の大きな夜会などに招待されるのは、ほぼ伯爵家以上のみ。王妃様や姫様方主催である日中のお茶会でも、ほとんどが子爵家以上が招待の基準です。やはり場数を踏んだ方々の方が試験に受かりやすい。
ただそれだけのことなのです。
しかしブライアン……なめられてるよね……これはやはり白手袋だね!いけいけブライアン!ここでさらにイメージアップだ!
近隣諸国からたくさんの釣書が届いている。エドワード様はアレだし、ロジャースも無理。
よっ!色男!王家も期待している!何人娶っても良いそうだ! お相手側も皆さま承知済みだぞ。王がエドワードが無理だから、ブライアンに頼むと言っているのだ! 私も次代は協力出きるだろう……たぶん……きっと……姉も頑張るよ!
目さぜハーレム!
「…………っ……うぅ……いたぁ……ぃ」
ゴッゴインって……ロジャースってば結構痛いな……は?弟に嫌がる無理難題を押し付けるな?えーまさか読心術なの?なら最後まで読みなさいよ!私も頑張るって言ってるじゃない!弟に無理強いするなら己は、皇太子様の腹ポテ監禁エンドレスコースを手伝うって?
ひっ酷いわ……自分はラブラブだからって!
いーやー!悪魔がここにー!読心術なら!私も頑張るってところまでキチンと読んでよ!無理強いではないわ。お互いによ!だってー!ブライアンがいつまでもフラフラしてるから!姉として心配してるのよー。でも監禁は嫌!絶対に嫌ー!ロジャースのボンクラー!酷いわー。もう帰るー。お家に戻るー。これは逃げるが勝ちよ。慌てて扉へダッシュだ!
……ドレスでダッシュは無理でした。
はて?あの扉を阻むのは?なぜここに護衛が顔をだしてるの?隠れていなさいよ!はぁ?私はまだ退出時間ではない?会場に戻らぬなら、高貴なお方の部屋へ直行?それもいーやー!なんて甘いわね!転移でチョチョイとな。
「…………」
なぜ? なぜ不発なの?
「エリザベート様のドレスの布地には、すべて転移無効の魔方陣が織り込まれている。皇太子様が長年熟考していたそうだ」
「なによそれ! 」
「エリザベート様の逃走防止だ。最初は下着にするつもりだったそうだ。しかし下着では必要な時に困るとドレスの布地になった。正装のドレスで、転移なんて普通はしないよな?」
「…………」
「ならやはり下着にするか?転移は魔道具でも可能だよな? 魔力無効よりマシだろ?まあナイティや勝負下着には既に織り込んでいる様だが、さすがに普段着と通常の下着類には止めさせたぞ。少しは感謝して欲しいわ。だが逃走するエリーも悪い。いざとなりゃお前は、ドレス脱いででも逃げるだろ? 実家では素肌にガウンでさ迷い、討伐隊宿舎では着ぐるみだった。本来寝巻きは着ないそうじゃないか。なら勝負下着は無駄になるな。どうせ着替えなんかたくさん隠してるくせに……」
「はいはい。でも魔力無効にされたらなんにも出来ないわよ!なにか魔道具を開発しなくちゃ! チリのようなお心遣いに、心から感謝しますわ! と、私からお礼を言うべきかしら? はぁ……了解です! リーダーもすっかり板についたわよね! 」
「はいは一度だろ? 」
「…………」
「しかも未だにリーダー呼びかよ。まあ専属護衛のリーダーだし構わないが……はいはい。ではではエリザベート様。どうぞ会場にお戻り下さいませ」
「慣れよ。リーダーもはいは一度よ。ではもね! 」
「「…………」」
「「同類……」」
はあ。仕方ない。戻りますか……
*****
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる