86 / 92
【余談・by the way】
【二巻カット部・グレイとライラの内緒話編】
しおりを挟む【アリーが誘拐され戻って来た際に、ライラのお屋敷で匿われていた時のお話。ライラとグレイの掛け合いです】
後半が本編よりカットされたお話です。でもWeb連載にはなくて、改稿で追加した部分だった感じもします。
今回お話が分かりやすいように、出だしを追加しています。
**********
スキルの復活により、お部屋に逃げ帰ってきたアリー。ボロボロなアリーの姿を見てルイスが魔力を暴発させ、アリーのお部屋の天井に大穴をあけてしまう。グレイはそのルイスを叱咤し助けを呼びにいかせ、自身はアリーの看病をしていました。
グレイは幼児姿でアリーを癒し、自身に取り込まれたアリーの魔力を返還していました。ルイスはライラに連絡をとり、ライラがアリーを匿う手配を任せます。ルイスがアリーの元に戻ると、眠るアリーの手を握りベッドサイドで見守るグレイ。
「ようやく戻ったの? 怪我や体力は癒したし、魔力もかなり返還したから、アリーはもう大丈夫。暫く寝れば元に戻るよ。でもこれが邪魔だね。そろそろ限界なんだよ」
「それは……魔力をを封じる指輪ですよね? 封じられているなら大丈夫なのでは? 」
「もれてるの! 体内での魔力循環が間に合わなくなってるんだよ。つまりもうこの指輪は必要ないわけ。もしこれからも封じるなら、封じを強固にしなくちゃならない。でもそれは体に負荷がかかりすぎる。ならどうすべきかわかるよね? 」
「封じをとき体に高魔力を馴染ませ、魔法を使用し適度に放出するしかありませんね……」
「封じてるのに漏れ出ている。その意味がわかる? 高魔力もちなら解ると思うけど、アリーの魔力は質も量も最高なんだ。その魔力に体が耐えきれなければ死んじゃうよ? 本当は僕が高魔力に慣らしてあげたいけど、人としての理を越えちゃうんだ……」
「ならば私が! 」
「…………どうやるか理解して言ってるの? 」
「…………それは……理解してます! 決して不埒な思いで言ってるのではありません! アリーが心配なのです! 」
「まあ……適役は他に居ないし……アリーとはどこまで?」
「…………」
「……ヘタレなんだね……ならキスまでだよ! 魔力暴走中もチュッチュしてたよね! 僕は恋人だと思ってたから黙ってたの! どさくさに紛れて先に進もうとしてたし! まさかあれがファーストキスだとは……」
「…………思考を読まないで下さい。やはりあれは私の邪魔をしていたのですね。更に覗いていたとは……」
「読みたくなくても読めちゃうんだよ! それに当たり前だよ! 意識のない女性に不埒なまねをするな! 付き合ってもいなかったんじゃない! 」
「静かにしてください。アリーが寝ているんですよ」
「ムッツリめ……はぃはぃ。これ以上は仕方ないから我慢するよ。でも本当にキスだけたからね! やり方はわかるよね? 」
「これでも賢者を名乗らされていたのです。知識はありますから、心配しないでください」
「賢者は関係ないじゃん……じゃあ任せるよ。絶対に……」
「しません! お願いですから出ていてください……」
「…………任せたよ? 」
「任されました! 早くしないとライラが来てしまいます。お願いですから、出ていてください」
…………実はこれがアリーのファーストキスです。後程知ったアリーは、グレーな鳥さんだった頃の、クチバシちょんちょんなグレイとだと言っています。フォードで無かったことに安心したのは内緒です。
**********
ライラのお屋敷に保護されたアリーは、二日も眠りようやく目を覚ましました。ではお風呂へ入りましょう。
お風呂へ向かった後のお部屋では、ライラとグレイが言い争っていました。
「子供ぶっても駄目です! 人はその年齢では、すでに異性とお風呂には入りません」
「もう痛いなぁ。叩かないでよ。ならもっと小さくなれば良いの? それとも鳥さんになる?」
「どちらも駄目! アリーが良くても駄目! アリーがいつまでも警戒心が薄くても困るでしょ! 今回は大事にいたらなかったけど、結果的にあちらは奪われたのよね? ルイスのニヤケ顔が気持ち悪いくらいに物語っているわよ」
「慣らすためには仕方ないし、ルイスが一番適役だったからね。僕がしたら人間の理を越えちゃうから……」
「グレイは偉いわ。越えちゃえば長く一緒にいられるのに、アリーのことを一番に考えているのね。だから良いことを教えてあげる。あのね……」
(ゴニョゴニョ。聖獣になれば伴侶が認められるの。あら? これは知っているの? なら伴侶は人間でも可能なのは知っているのかしら? 人としての人生を終えた後の魂になら、聖獣からプロポーズ出来るそうよ。伴侶になった魂は聖獣と同等となる。同じときを生き同じ日に死ねる。これは古に公爵家に実際にあったとされるお話なの。数代後の子孫が困った時に、聖獣の伴侶となったご先祖様が助けに来てくれたと言い伝えが残っているわ。あなたの心が変わらなければ頑張ってみなさいな)
「…………そんなのまだまだ先じゃない。ルイスだけズルいよ。一緒に入っちゃ駄目なの?」
「…………まあまだ思考が幼いから仕方ないのね。ならモコモコとやらのグレーの毛玉なら許してあげる。イタズラはしないのよ?」
「わーい。はーい。(……ルイスに自慢してやる)モコモコになるよーーお風呂ー」
「ライラ。お風呂お借りしました。着替えもありがとう。あれ? グレイはモコモコの毛玉になってどうしたの? なら頭か肩にのる? 」
「「……………………」」
「グレイ……残念でした。さあ湯冷めしない内にご飯にしましょう」
なんだかやさぐれたようにポテポテと歩くグレイ。アリーはそっと両手のひらですくい肩に乗せ、食事をするために歩き出します。
肩の上でもグレーな毛玉のまま、ポテポテと足踏みをする鳥さんの後ろ姿。何だかとても哀愁を感じてしまいます。でも何だかとても可愛いかも。
*******
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。