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【城下町編。フロックス国境でダービー開始】

◆城下町から1週間と6日・一応決着。

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 宰相様から今回の流れな説明が有り、隣国に迷惑を掛けた謝罪とお礼の言葉を戴く。国王の方には、改めてお礼の使者を送るそうだ。

 でも国王何もしてないじゃん。ルード達騎士団が関係したからだろうけどね。まあ私もクーデターには参加させて貰えなかったしね。襲われてたからね!

 *****

 結論から言えば、前王は国境の砦に近い離宮に幽閉。現在ダンジョン跡に、餌とされ亡くなった人々の為の教会が建設中だ。教会が出来次第教会に移動。元王は生涯その教会で祈りを捧げる事となる。草原の檻の中に居た貴族のお偉方も同罪となる。

 ごめん。檻の中のお偉方忘れてたよ…。

 因みに近くの小屋から、ドラゴン出現のどさくさで逃げ出した人達も教会送り。但し此方は命令で働いていた人々だ。その為期限つきでの奉仕活動となる。行いが良ければ早く解放される。日本の刑務所みたいな感じだね。下働き兼用だ。ブラン国王に意見を求められた。

 《処罰はこの国がすべき事。私が口を出す事じゃ無いわよ。国民が納得してるんでしょ?なら大丈夫では?前王はまだ城に居るの?》

 前王は城の地下の貴族用の牢に入ってるそうだ。私は襲われた際の話をし、不能と噂の王の事実を知りたいと話した。後何故フリードを本当に殺さなかったのか?すると意外な事実が発覚した。

 前王は不能では無く絶倫すぎるそうだ…。

 はあ?何それ?

 前王は魔力量がかなり多い。しかし全く魔法が使えない。しかも魔力が体内に蓄積され易く、貯まりすぎてしまう事が有る。人間の魔力は通常の生活でも使われて居る為、魔法が使えなくても放出出来る。しかし前王は通常生活のみでは放出仕切れなかった。

 日常生活で1番放出出来るのがエッチする事。体外に放出する以外に、相手に与える事が出来るから。その為、若い頃の前王は手当たり次第女性に手を付けて居た。しかしやはり前王も人の子だ。どうしても好きになったり、好みが偏ったりする。寵姫と呼ばれる女性が出来てしまう。

 お気に入りの女性が出来る。しかし暫くすると女性の体調が悪くなる。それでも関係を続けると皆精神を病んでしまう。女性が妊娠しても流れてしまう。調べた所、女性の体が魔力を受け入れきれないとの事。妊娠しても受け入れきれ無い魔力が毒となり、胎児が耐えきれない。

 前王妃は魔力量が多かった。しかしまた壊れたらと思うと手をだせなかった。そんな中、無理矢理だが聖獣に魔力を与えらる事が解った。これで欲を抑えていた。モノクにはよい迷惑よね。しかもモノクを自分の物にしようとしたらしい。その為に前王妃様を毒殺した。毒味した侍女を巻き込んで…。

 フリードを殺さなかったのは、王家の血筋が絶えた時の保険だった。その為間者に育成し、仲間を人質にしていた。しかし王弟が王になると後継が必要だからと、クーデターに担がれるのを拒否してる事を知る。ならは息子が生きてたら不味い。となった訳だ。全くどうしようも無いクズよね。

 魔力量は確かに聖獣と契約すれば解決するわね。共有する訳だから、聖獣に使って貰えば良い。でもモノクは男性体。他の聖獣は…。レインが魔力の質が悪すぎると首を振る。魔力の質は本人次第だそう。何時か更正すれば契約出来るかも知れない。

 《でも放出しきらなくても害は無いんでしょ?なら程々にエッチして放出すれば良いじゃ無い。何でそんなに沢山放出する必要が有るのよ。》
 
 〈〈〈それは…。〉〉〉

 言葉を濁す男性陣。結局は前王が絶倫すぎるのがいけないんでしょ?自分が我慢できないだけじゃ無い。好きな女性の為なら我慢しなさいよ!我が子の為にも我慢できない訳?

 えー?魔力量が多いと絶倫傾向になる?うわっ!じゃあ魔術師は駄目だね。ガクブルだよ。

 ルードをじっと見る。確かルードも魔力が多いのよね。召喚の魔方陣に魔力を供給してたのだから。でも魔法を使ってるの見たこと無い。

 《ルードは大丈夫なの?魔法使って無いわよね?》

 〈私は魔力が殆ど有りません。なので心配はいりませんよ。〉

 ・・・・・。

 《説明有り難うございます。つまり私は魔力量が多いから壊れないと思われた訳ね。前王の望むエンドレスに付き合える女性はこの世界には私だけ?もしかして神様に体験させられた、亡くなった聖女のヤンデレ王子も同じなのかしら?兎に角!この世界の男性は少しは自制心を覚えなさい!エロばかりしか頭に無いの?愛は体だけじゃ無いでしょ!相手を思いやれば煩悩も退散出来る筈よ!》

 〈リョウ…。経験無しの貴女の言葉では、申し訳ありませんが説得力が余り・・・。〉

 《レイン黙りなさい!思いやり!1番大事よ!そんなにしたいなら、ねじくれた本質を正して聖獣と契約しなさい!魔力の質を良くしなさいと前王に伝えて。ん?契約しても絶倫は変わらないのよね?相手が病まなくなるだけよ。やはり駄目だわ。魔力の多い人は気を付け無きゃ。》

 これにて一応決着だ。後はフリードとブランの力だよね。頑張って国を建て直し支えて欲しい。

 *****

 帰りに報奨の事を言われる。ルード達は国に属してる為、国へのお礼となるそうだ。そこから国よりボーナスが出る。なら私もギルド経由だよ?しかし草原での魔物退治と治療以外は、ギルドの管轄では無い。しかも内政に干渉する様な事までさせ、更には危険な目にもあわせてしまった。狂った魔物が隣国を襲って居たら戦争になった。ドラゴンが暴走すれば城下町は危なかっただろう。更には国中の巡回医療や炊き出し。これで報奨を出さねば、国民にも叱咤され顔向け出来ないとの事。無理は出来ぬので、気持ちばかりだが受け取って欲しいと言われてしまう。戴けるなら喜んで貰いますが、一体何を戴けるのでしょうか?

 内容は大金貨で10枚。城内に私専用の部屋を一室。瞬間移動で何時でも出入りOK。ドレスや必要な品も全て揃えてくれる。既に王弟派の貴族からの貢ぎ物や、色々な町や村から沢山のお礼が届いて居る。全て部屋に運んで居るそうだ。

 全てデジャ・ビュじゃ無い。シスルの国に合わせたわね。専用部屋はブームなのかしら?断ったのは私だけど、召喚された城には無くて笑えるわね。王と話をしたことも無いしね。別にあんな城に部屋なんか要らないし、城下町にお家が有るから良いもんね。増築楽しみだよ。

 サラに個人的にと、フリードから若草色のローブを戴いた。

 〈その空色のローブは良く似合ってる。しかし着たきりではな。この色も似合うと思うから着てくれ。空色のと同じ魔法を組み込んでる。赤い小さいてんとう虫が魔石だ。空色と緑のクローバーが刺繍され、可愛らしいてんとう虫が遊んで居る。〉

 これもあのワンピースに似てるわね。

 《フリード。有り難う。明日戻る際に来てくわ。空色のローブもだけど、若草色のローブも素敵。どちらもそっくりな生地のワンピースが有るのよ。アクセサリーもお揃いでお気に入りなの。こちらの世界に来て初めて購入した服なのよ。セットで購入したら、小花のセットを店主のおばちゃまがオマケしてくれた。その内小花のローブもゲットかしら?何てフラグは流石に無いわね。》

 〈残念だ。リョウは明日戻るのか。また何時でも来てくれ。これは紋章入りの懐中時計だ。かの国と使い方は同じだ。色は若草色にしといたぞ。聖獣様に似とるな。彼女の聖獣は白黒だったな。確かアネモネのカーバンクルだと言ってた。〉

 《モノク。タルバ。ちょっと出てきて。》

 2ひとつが聖獣姿で現れた。

 《タルバは幸運のクローバーのカーバンクルです。確かにイメージピッタリですね。モノクはアネモネのカーバンクルですよね?アネモネには沢山の色が有ります。全体的な花言葉は、恋の悲しみと薄れ行く希望。でも色で花言葉は違うんです。モノクの色の花言葉は、真実、真心、希望。恋の悲しみは、真心で癒し真実の愛を得る。薄れ行く希望は、真実を見付け新しい希望に繋げる。モノクの主の彼女も、きっと花言葉の様に皆さんの幸せを祈って居ると思います。》

 モノクはじっと、フリードとブランを見ている。

 《いつの間にか私とモノクは契約してた様です。一緒に連れて帰りますが、絶対に幸せにします。お2人も幸せになっ下さいね。親子の時間をトリモドシテ下さい。》

 〈〈気持ちは有り難いが、今更親子の時間より恋人との時間のほうが…。〉〉

 《あれ?そう言えばモノクの真名聞いてないよ?》
 
 モノクが肩に乗り、耳元で囁く。えー?私が偶然当てちゃってたの?モノクロームが真名?簡単すぎて不味くない?体液交換は簡単に出来ないから大丈夫?無理矢理や嫌なら殺す?物騒だね。

 〈だからリョウとも仮契約だったでしょ?チュー狙うのって結構難しいんだよ。転がった先に別のが有って助かったけどね。つついてごめんね?〉

 〈〈〈別のって何?つついた?〉〉〉

 《モ・ノ・ク~!!》

 私はモノクを追いかけ脱兎の如く逃げ出した!

 翌朝皆に別れを告げ、城を後にした。

 *****
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