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二期 三・五章
悪魔の加護
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クレイスが悪魔と契約したのは、まだクレイスがA級だった頃の話である。
契約することになった理由というのは、後述するが、一言でいえばアザゼルにそうするよう仕向けられたのであった。
+A級になる前より人類最強と謳われていたクレイスは、魔王ルシファーの復活を望む悪魔達には邪魔な存在となった。
監視役アザゼルはその存在をいち早く見つけ、自分のものにしようと考えたのだ…
―数年前―
「クレイス、あなたにしか頼めない依頼が来ているわ。」
コロシアム内にあるギルドの掲示板で依頼を物色している俺に話しかけてきたのは、このギルドの看板娘であるシルキーであった。愛嬌のある笑顔と真面目なときのクールな顔のギャップに、ここのギルドを拠点にしている男性冒険者はデレデレである。
彼女はこのギルドの受付嬢であり、冒険者でもある。受け付けの仕事はもちろん、剣の腕も確かで、兼業にも関わらず冒険者ランクはC級である。
「俺にしか頼めない依頼?」
「ええ、調査の依頼みたいね…。」
クレイスに慢心はないが、自分の強さをよく理解していた。今まで鍛錬を怠らなかった自信と、クエスト成功率100パーセントの実績がその強さを裏付けしていた。
つまり、そんな俺にくる依頼というものは、正真正銘代行が立てられないものであると理解していた。
「俺にくる調査…?変異種か新種か?」
「よくわかったわね、エスパー?」
そういって笑うシルキー。綺麗な目に吸い込まれそうになる。
毎度のことで予想がついただけだ、と目をそらす。
「どこに行けばいいんだ?」
「キルドの森見たいね、ここにくる途中の行商人がその魔物の影を見たらしいわ。」
細かい情報はこの書類に書いてあるわ、とシルキーは俺に髪の束を渡してきた。
その書類にはこう書いてあった。
*調査依頼(変異種可能性あり)*
場所:キルドの森
依頼者:行商人ゼル・ビークス
私はカーヴァスの町と行き来している行商人なのですが、今回新たな素材をカーヴァスで仕入れたのでアルケイデスに数ヶ月ぶりに向かっていました。その際に、いつもの様にキルドの森の道を通っていたところ、いつもは襲ってこないボアの群れが襲ってきたのです。
ボア程度なら…これでも行商人として多少の心得はあるのでなんとかなったのです。
ただ、どうやらそのボアの群れは、違う魔物から逃げてきたようでした。
追い払っても追い払っても森の奥から走ってこちらに向かってきてきりがありませんでした。
さらには上位種のボアアークまでもが見えてき始め、さらにこちらの明かりの燃料も心もとなくなってまいりましたので、一度引き返し遠回りの別の道からはるばるやって参りました。
通れないだけならまだいいのですが、あの量のボアやボアアークが逃げてきて、カーヴァスやアルケイデスにまで被害が及ぶと大変です。
どうか、この不思議な現象の主を調査し、討伐していただきたく思います。
ゼルより
「…なるほどな。」
一通り読み終わった俺は書類をシルキーに返し、親指を突き立て…
「俺に任せておけ!必ず解決してみせよう!」
そう啖呵を切るのであった。
契約することになった理由というのは、後述するが、一言でいえばアザゼルにそうするよう仕向けられたのであった。
+A級になる前より人類最強と謳われていたクレイスは、魔王ルシファーの復活を望む悪魔達には邪魔な存在となった。
監視役アザゼルはその存在をいち早く見つけ、自分のものにしようと考えたのだ…
―数年前―
「クレイス、あなたにしか頼めない依頼が来ているわ。」
コロシアム内にあるギルドの掲示板で依頼を物色している俺に話しかけてきたのは、このギルドの看板娘であるシルキーであった。愛嬌のある笑顔と真面目なときのクールな顔のギャップに、ここのギルドを拠点にしている男性冒険者はデレデレである。
彼女はこのギルドの受付嬢であり、冒険者でもある。受け付けの仕事はもちろん、剣の腕も確かで、兼業にも関わらず冒険者ランクはC級である。
「俺にしか頼めない依頼?」
「ええ、調査の依頼みたいね…。」
クレイスに慢心はないが、自分の強さをよく理解していた。今まで鍛錬を怠らなかった自信と、クエスト成功率100パーセントの実績がその強さを裏付けしていた。
つまり、そんな俺にくる依頼というものは、正真正銘代行が立てられないものであると理解していた。
「俺にくる調査…?変異種か新種か?」
「よくわかったわね、エスパー?」
そういって笑うシルキー。綺麗な目に吸い込まれそうになる。
毎度のことで予想がついただけだ、と目をそらす。
「どこに行けばいいんだ?」
「キルドの森見たいね、ここにくる途中の行商人がその魔物の影を見たらしいわ。」
細かい情報はこの書類に書いてあるわ、とシルキーは俺に髪の束を渡してきた。
その書類にはこう書いてあった。
*調査依頼(変異種可能性あり)*
場所:キルドの森
依頼者:行商人ゼル・ビークス
私はカーヴァスの町と行き来している行商人なのですが、今回新たな素材をカーヴァスで仕入れたのでアルケイデスに数ヶ月ぶりに向かっていました。その際に、いつもの様にキルドの森の道を通っていたところ、いつもは襲ってこないボアの群れが襲ってきたのです。
ボア程度なら…これでも行商人として多少の心得はあるのでなんとかなったのです。
ただ、どうやらそのボアの群れは、違う魔物から逃げてきたようでした。
追い払っても追い払っても森の奥から走ってこちらに向かってきてきりがありませんでした。
さらには上位種のボアアークまでもが見えてき始め、さらにこちらの明かりの燃料も心もとなくなってまいりましたので、一度引き返し遠回りの別の道からはるばるやって参りました。
通れないだけならまだいいのですが、あの量のボアやボアアークが逃げてきて、カーヴァスやアルケイデスにまで被害が及ぶと大変です。
どうか、この不思議な現象の主を調査し、討伐していただきたく思います。
ゼルより
「…なるほどな。」
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「俺に任せておけ!必ず解決してみせよう!」
そう啖呵を切るのであった。
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