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一章 私立八意学園
約束
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「じゃあ、今は聞かないから。でもいつか話してね?約束だよ」
「わかりました。いつか、必ず話します。けど、楽しい話ではないですから、嫌な気分になったらすいません」
蓮さんといると落ち着くというか、なんだろう、安心する?そんな感じがして気が緩んだ。
けど、約束か。
あの話をしたら蓮さんはどんな顔をするだろうか。引いちゃうかな?それとも怒るんだろうか。
この格好つけて引けなくなって困ってしまうような情けない先輩は、どんな言葉をくれるんだろうか。
案外、話す日は近いかもしれない。
「蓮さん」
「んー?なーにー?」
少し前を歩いていた蓮さんが足を止めて振り返る、それを見ていたずら心が首をもたげ、なんとなく右手を握ってみた。
「ちょ!?」
「嫌ですか?」
「い、嫌ってことはないけど…恥ずかしいっていうかその…」
「嫌なら離しますけど、付き合ってるんですし、変ではないですよね?」
「そ、そうかなぁ?なんかこう男女逆っていうかさ、私がほら、背高いから」
「すいませんね、小さくて」
「そ、そうじゃないけど!類君こそ、えっと、その。嫌じゃない?」
嫌なら握りませんよ。
断られたらどうしようって思ってました。今はまだ詳しいことも言えないし、彼氏なんだか契約相手なんだかまだわからないような関係ですが、自分なりにこの距離を縮めて行こうって思ったんです。
なんて、恥ずかしくて言えないけどね。
「蓮さん」
「な、なにさ」
「好きです」
「っー!?」
「昨日より好きになりました。責任取ってください」
「も、もう!私は昨日より苦手になってきたよ!恥ずかしいことばっかしてー!」
「ははっ!やっぱり蓮さんはそうでなくちゃ!」
「む、むぅ。ワタシダッテキノウヨリキニナルッテイウカ…」
「え?」
「なんでもないよーだ」
「聞こえなかったんでもう一度いってくださいよ、気になるじゃないですか」
「いーわない!」
そうやってじゃれつきながら話す僕らの影は心なしかどんどん近くなっていた気がして、明日はどれくらい近付けるのかなんて少し乙女チックなことを考えてしまって自分でも苦笑いしてしまう。
「わかりました。いつか、必ず話します。けど、楽しい話ではないですから、嫌な気分になったらすいません」
蓮さんといると落ち着くというか、なんだろう、安心する?そんな感じがして気が緩んだ。
けど、約束か。
あの話をしたら蓮さんはどんな顔をするだろうか。引いちゃうかな?それとも怒るんだろうか。
この格好つけて引けなくなって困ってしまうような情けない先輩は、どんな言葉をくれるんだろうか。
案外、話す日は近いかもしれない。
「蓮さん」
「んー?なーにー?」
少し前を歩いていた蓮さんが足を止めて振り返る、それを見ていたずら心が首をもたげ、なんとなく右手を握ってみた。
「ちょ!?」
「嫌ですか?」
「い、嫌ってことはないけど…恥ずかしいっていうかその…」
「嫌なら離しますけど、付き合ってるんですし、変ではないですよね?」
「そ、そうかなぁ?なんかこう男女逆っていうかさ、私がほら、背高いから」
「すいませんね、小さくて」
「そ、そうじゃないけど!類君こそ、えっと、その。嫌じゃない?」
嫌なら握りませんよ。
断られたらどうしようって思ってました。今はまだ詳しいことも言えないし、彼氏なんだか契約相手なんだかまだわからないような関係ですが、自分なりにこの距離を縮めて行こうって思ったんです。
なんて、恥ずかしくて言えないけどね。
「蓮さん」
「な、なにさ」
「好きです」
「っー!?」
「昨日より好きになりました。責任取ってください」
「も、もう!私は昨日より苦手になってきたよ!恥ずかしいことばっかしてー!」
「ははっ!やっぱり蓮さんはそうでなくちゃ!」
「む、むぅ。ワタシダッテキノウヨリキニナルッテイウカ…」
「え?」
「なんでもないよーだ」
「聞こえなかったんでもう一度いってくださいよ、気になるじゃないですか」
「いーわない!」
そうやってじゃれつきながら話す僕らの影は心なしかどんどん近くなっていた気がして、明日はどれくらい近付けるのかなんて少し乙女チックなことを考えてしまって自分でも苦笑いしてしまう。
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