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ーーでも、そうなのか……皆そんなにこの差し入れ好きだったんだ……
無料だし珍しいから、ちょっと大袈裟に喜んで見せている程度かと……
ならーーご近所さんたちへのお礼も料理でいい……?
振る舞う程度じゃなく、箱とかにちゃんと詰めてお弁当みたいにしたら、ちゃんと満足して貰えたりする⁇
ーー言われてみれば私だって、なかなか食べられないお高めのお菓子とかなら、報酬として十分に嬉しいな……?
ーーお高めの……⁇
「……おにぎり?」
「……イルメラ嬢?」
私の呟きを聞き取ったエド様が訝しげな顔をこちらに向けていた。
「ーーおにぎりとかどう思います⁉︎」
「……それは一体?」
「あ、あの……お米を使った料理でして!」
「ーー米、か」
「仕送りが届いたので、ちょっと贅沢にしちゃおかと!」
「……ふむ?」
「ご飯って、皆で食べたら美味しいって言いますし、皆にお礼として出してみようかと!」
「ーー米を⁉︎」
「はいっ!」
「近所中に配る、と⁉︎」
「お礼なんで‼︎」
「それは……どう、なんだろうな……?」
エド様が首の後ろを摩りながら、意見を求めるように、同じテーブルに付いていた師匠や先輩たちに視線を送るが、皆はその視線から逃れるかのように身を捩った。
……あれ? この反応は……あまり嬉しくないかんじ……⁇
「ーー食べ慣れないものは嬉しく無いでしょうか……?」
でもお高いってことは、需要のほうが上回ってるって事で、なら美味しいんだと思うんだけど……
大体、昔から存在はしてるんだから、全く馴染みがないって物でもないと思うんだよ!
ーーっていうか、いい加減お米食べたいっ!
お礼って名目でなかなか手を出さないお高めの食品買うのとか、なかなかいいアイデアだと思うんですけどっ‼︎
「ーージーノとよく話し合って決めるのが良いのではないか……?」
誰とも視線が合わなかったエド様は、そのまま再び私の方を見て、やっぱり首を摩りながらそう口にした。
「ーーそうですね!」
優しいジーノさんなら、きっと賛成してくれるはずっ!
お米が食べられるかも⁉︎ と、グッと拳を握りしめた時だった。
「あー……えーっと……」
と、いう言葉と共に、エド様の後ろにセストさんがモゾモゾと体を動かしながら眉毛をかきはじめた。
……なんろう?
ーーお花摘みだろうか⁇
行ってきたら? と声をかけるべきか迷っていると、一人の兵士がテントに入ってきた。
「ーー休憩中か?」
「全然大丈夫ですよー。 こちらへどうぞー」
その顔と頭皮に見覚えがあった私は素早く立ち上がると、声をかけながら処置室に案内した。
無料だし珍しいから、ちょっと大袈裟に喜んで見せている程度かと……
ならーーご近所さんたちへのお礼も料理でいい……?
振る舞う程度じゃなく、箱とかにちゃんと詰めてお弁当みたいにしたら、ちゃんと満足して貰えたりする⁇
ーー言われてみれば私だって、なかなか食べられないお高めのお菓子とかなら、報酬として十分に嬉しいな……?
ーーお高めの……⁇
「……おにぎり?」
「……イルメラ嬢?」
私の呟きを聞き取ったエド様が訝しげな顔をこちらに向けていた。
「ーーおにぎりとかどう思います⁉︎」
「……それは一体?」
「あ、あの……お米を使った料理でして!」
「ーー米、か」
「仕送りが届いたので、ちょっと贅沢にしちゃおかと!」
「……ふむ?」
「ご飯って、皆で食べたら美味しいって言いますし、皆にお礼として出してみようかと!」
「ーー米を⁉︎」
「はいっ!」
「近所中に配る、と⁉︎」
「お礼なんで‼︎」
「それは……どう、なんだろうな……?」
エド様が首の後ろを摩りながら、意見を求めるように、同じテーブルに付いていた師匠や先輩たちに視線を送るが、皆はその視線から逃れるかのように身を捩った。
……あれ? この反応は……あまり嬉しくないかんじ……⁇
「ーー食べ慣れないものは嬉しく無いでしょうか……?」
でもお高いってことは、需要のほうが上回ってるって事で、なら美味しいんだと思うんだけど……
大体、昔から存在はしてるんだから、全く馴染みがないって物でもないと思うんだよ!
ーーっていうか、いい加減お米食べたいっ!
お礼って名目でなかなか手を出さないお高めの食品買うのとか、なかなかいいアイデアだと思うんですけどっ‼︎
「ーージーノとよく話し合って決めるのが良いのではないか……?」
誰とも視線が合わなかったエド様は、そのまま再び私の方を見て、やっぱり首を摩りながらそう口にした。
「ーーそうですね!」
優しいジーノさんなら、きっと賛成してくれるはずっ!
お米が食べられるかも⁉︎ と、グッと拳を握りしめた時だった。
「あー……えーっと……」
と、いう言葉と共に、エド様の後ろにセストさんがモゾモゾと体を動かしながら眉毛をかきはじめた。
……なんろう?
ーーお花摘みだろうか⁇
行ってきたら? と声をかけるべきか迷っていると、一人の兵士がテントに入ってきた。
「ーー休憩中か?」
「全然大丈夫ですよー。 こちらへどうぞー」
その顔と頭皮に見覚えがあった私は素早く立ち上がると、声をかけながら処置室に案内した。
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