成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

文字の大きさ
上 下
1,030 / 1,038

1028

しおりを挟む
「ーー……それを実践するのは、一旦ご両親の許可もらってからにしましょうか……?」

 そう答えたリアーヌに友人たちが「あっ……」と気まずげに顔を見合わせるのと、会計を終わらせたレジアンナがシビレを切らすのは同じタイミングだった。

「リアーヌ? 私、先にあの店に行っていましてよ?」

 そう言いながら出口に歩いていくレジアンナを止めながら、慌てて声をかける。

「ま、待って待って! まだ聞いてないから! すぐ確認取るからっ!」
「……今日は好きにお買い物をしてもいい日なんですのよ?」

 リアーヌには止められたのが面白くないのか、ムッと顔をしかめるレジアンナ。

「それはそうなんだけど、私たちがバラバラに買い物してもいいってことじゃないでしょ?」
「それは……」
「騎士の人にちゃんと事情を話してみんなの買い物が終わったら、きっと行くからもう少しこの店見ててよ」
「ーー早くね? できるだけたくさんのお店に行くんだから!」
「……善処しまーす」

 リアーヌは(なんか役人みたいな返事しちゃった……)などと考えながら、騎士たちに事情を説明しに行ってから、クラリーチェたちに「そろそろ次の店に行きませんか……?」とお伺いをたてに行き、レジアンナのご機嫌が斜めになり切る前に、どうにか次の店に足を踏み入れることに成功したのだった。

「ーーねぎりのスキル……」
「今はお忙しいのよ……」

 その店を出る際耳にした寂しげな声に、唇を引き締めたリアーヌは、ややヤケクソ気味に笑顔で振り返ると「次のお店でお見せしますね!」と力強く言い放つのだった。

 ーーそして一同は、全員笑顔で次の店へと移動していくーー



「ーーねぇ」

 喉の渇きを潤すためと、少しの休憩も兼ねて、落ち着いた雰囲気のカフェに入り、束の間の休息していたリアーヌは、隣で涼しい顔をしてお茶を口に含んでいるビアンカに向かい、疲れ切った様子で話しかけていた。

「……なにかしら?」
「あの王子、わざとやってると思わない……?」

 思い切り顔をシワを寄せながら、不愉快そうに言ったリアーヌに、ビアンカは軽く咳払いをしながら、声をひそめながら答えた。

「ーー周りにこれだけいらっしゃる騎士の方々が、からのご命令で派遣されているのか、もう少し理解してもいいんじゃなくて……?」
「……騎士はあくまでも国に使える人なんじゃ……」
「ーー少し前に王族でもなんでもないかたの息がかかった騎士に、なにをされそうになったか忘れましたの?」
「そ、れは……」

 そう言ってモゴモゴと言葉を濁し始めるリアーヌに、ビアンカは肩をすくめながらさらに助言を重ねる。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

メイドを目指したお嬢様はいきなりのモテ期に困惑する

Hkei
恋愛
落ちぶれ子爵家の長女クレア・ブランドンはもう貴族と名乗れない程苦しくなった家計を助けるため、まだ小さい弟の為出稼ぎに行くことにする。 母の知り合いの公爵夫人の力を借りて住み込みのメイドになるクレア。 実家である程度家事もやっていたり、子爵令嬢としての教育も受けてるクレアはメイドとしては有能であった。 順調に第2の人生を送っていたのに招かざる来訪者が来てからクレアの周りは忙しくなる。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

【本編完結】政略結婚お断り、逆境に負けず私は隣国で幸せになります

葵井瑞貴
恋愛
「お前は俺の『物』だ」――夜会で傲慢な侯爵子息テオに見そめられてしまった令嬢ソフィア。 女性を物扱いする彼との政略結婚から逃れるため、一人異国へ旅立つ――。 そこで出会ったのは、美貌の貴公子アーサーと個性豊かな仲間たち。 新天地で平穏な日々を送っていたソフィアだが、テオが追って来て国に連れ帰ろうとする。 さらに、祖国とリベルタ王国が戦争間近の緊張状態になり、ソフィアは貴族の陰謀に巻き込まれていく。 宿命としがらみ。貴族の思惑と陰謀。入り乱れる恋の矢印と絡み合う恋模様――。 主人公ソフィアを中心に様々な人の縁が広がり交わって、やがて一筋の明るい未来に繋がる。 これは、どんな逆境にも負けず、自分らしく生きることを諦めない、令嬢ソフィアが幸せになるまでのラブストーリー。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

【完結】ちびっ子元聖女は自分は成人していると声を大にして言いたい

かのん
恋愛
 令嬢に必要な物は何か。優雅さ?美しさ?教養?どれもこれも確かに必要だろう。だが、そうではない。それがなければ、見向きもされず、それがなければ、壁の花にすらなれない。それとはなにか。ハッキリ言おう。身長である!!!  前世聖女であったココレットが、今世は色恋に花を咲かせようと思っていた。しかし、彼女には今世身長が足りなかった。  これは、自分は成人していると声を大にして言いたい元聖女のはじまりの話。  書きたくなって書いた、勢いと思いつきのお話です。それでも良い方はお読みください。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

処理中です...