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「コピーさせないならさせないで君の自由だと思うけど……ーー正直、リアーヌが守護のギフトコピーしない方が好都合な部分もあるし?」
「……え?」

 ゼクスの言葉に大きく反応したのはリアーヌだった。
 ベッティも少しの反応は見せていたが、今は自分のこれからが気になるようだ。

「ーーだって守護持ちだよ? どうしたってこれからリアーヌへの干渉が入る……他国に出たり旅行したりーー多分、手続きが面倒になるんだよねぇ……」
「ーーコピーすんのやめましょう!」

(きっと、その手続きとやらを私がすることは無いだろうからその辺りはいいんだけど、そのせいで私だけアウセレに行けないとかになったらどうするの⁉︎ 本気で王家を恨んでやるんだから……!)

「……本当アウセレ好きだよね?」

 リアーヌの考えを的確に理解したゼクスは乾いた笑いを浮かべる。

「大好きです!」
「ーーってわけだからさ? こっちとしてはコピーしないメリットだってあるんだよねー?」

 ゼクスにヘラ……と笑いかけられ、ベッティの頬が大きくひきつる。
 ハクハクとなんどか口を開閉させてから無理やり言葉を捻り出す。

「あ、貴方……ーー貴族のくせにそんなこと言っていいの⁉︎ これっていわゆる王族からの命令なんでしょ⁉︎ なのに「出来ませんでしたー」とか言えるの⁉︎ コピー出来なきゃ困るのはアンタたちのほうなのに、適当言わないでよっ!」
「この状況でリアーヌにそんな王命なんか出るわけないだろ……それに、コピーの必須条件は本人の許可だよ? 「君が許可しないから出来ませんでした」でおしまいだよ。 ……実際君は拒否してるわけだし? 証人なんかいくらだっているし?」

 周りを見回しながら言うゼクス。
 そんなゼクスに同意するように護衛たちが頭を下げ、給仕のために同席していたメイドたちも会釈するように軽く頭を下げた。

「そ、そんなの……」

 モゴモゴとさらになにか言葉を言い連ねようとするベッティを笑顔で牽制しながらゼクスはさらに言葉を続ける。

「それにさ? きっと陛下や他の王族の方々だって、今すぐに守護の力をリアーヌに持って欲しいわけじゃないと思うんだよねー。 そりゃ早いに越したことはないけど……守護って、この国が危険に晒されないなら一生必要のない能力だろ? だったらコピーするのは五年後だって十年後だって問題ない。 ーーだろ?」
「ウソよ……うそ。 だって、守護のギフトは特別なものなんだから!」

 何度も首を横に振りながら、不安そうに否定するベッティに、ゼクスは軽く首をすくめながら淡々と返す。

「……それは否定しないけどーーでも、明日や明後日に必要となる能力でもないだろ?」
 
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