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「だから心配してくれなくても俺は俺の夢を叶えるし、幸せに生きていくーー他でもないリアーヌと一緒に。 だから……いい加減、俺の決断を勝手に後悔するのやあめてもらってもいいかな?」

 舌打ち混じりで不機嫌であることを隠そうともしないゼクスに、真正面から睨みつけられたベッティは、顔色を悪くしながらブンブンと大きく首を横に振る。

「勝手にって……ーーわ、私そんなつもりじゃなくて……」
「……例えどんなつもりであってもやめてくれる? ーー不愉快だ」
「あ……あの、ごめんなさい……」

 ゼクスはベッティからの謝罪に大きなため息で返し、肩をすくめて終わりにした。
 ーーベッティはこの仕草の真意に気が付かなかったかもしれないが、これは『許したわけではない』という意思表示の現れであった。

 部屋の中に気まずい沈黙が流れる中、リアーヌは(……多分、ここは私がこの沈黙を終わらせる役目を引き受ける場面……⁉︎)と、無理やりに笑顔を貼り付けながら口を開いた。

「ーーこのお茶、本当に美味しいんですよ? お二人もぜひ飲んで見てくださいな」

 そう言いながらオリバーに視線を流す。
 オリバーは軽く頭を下げながら、今度は三人分のお茶を入れ直した。
 その間もリアーヌはテーブルに飾られた花や食器を褒め話題を提供したのだが、それに反応するのはゼクスばかりで、相変わらずベッティの周りには気まずい空気が流れ続けていたーー

(ーー知ってた! そうだよねっ! マナーの知識が無かったら、こういう空気にするのがマナー違反とか分かんないよね!)

 リアーヌは、肩をおとし顔を伏せ、自分の手元を見つめながら時折ブツブツと呟いているベッティに、ゼクスと顔を見合わせながら肩をすくめ合う。
 リアーヌが(この空気の中、誰が「ーーじゃあ、そろそろコピーしちゃいますぅー?」って言い出せるのかと……)とグチり始めた頃、ベッティがゆっくりと顔を上げた。

「……私、貴女にコピーさせない」
「ーーえ?」
「……そもそも今回のお茶会って“コピーさせるから俺の同席を求める”って話じゃなかったっけ?」

 驚き目を丸めるリアーヌに、スッと目を細め眉間にシワを寄せるゼクス。
 顔を上げたベッティは、そんな二人にヤケクソ気味に歪んだ顔で笑って見せると、鼻を鳴らしながら答えた。

「……だってそうでしょ? どうせ私はここから出られない。 だったら、コピーなんかさせずにレオンと結婚して唯一無二の守護持ちになってたほうがいいじゃない」

 そこまで言ったベッティはリアーヌに鋭い視線を向けながら更に続ける。
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