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「ーーアンタね……? またアンタがなにかやったんでしょ⁉︎ なんでいっつも……ーーアンタ誰なのよ! だアンタなんか知らない! この世界にいなかったっ! なんで! なんでなんでなんでーっ‼︎」

 怒り狂うベッティの姿に多少の恐怖を覚えながらも、リアーヌは心のどこかでベッティに対する、ほんの少しの罪悪感を感じていた。

(……ストーリー破茶滅茶に変えちゃった自覚はあるからなぁ……ーーでも……この子だって、ベッティなのにゼクス狙ってたなら人のこと言えないし……ーーなんなら守護のギフトまで奪ってるわけで……ーー私もやらかしましたけど、貴女だって同じぐらいやらかしてますよね……? それで私に文句言うとか……無いわー)

 罪悪感は感じていたリアーヌだったが、ベッティにだって罪はあるだろうと、思い直すリアーヌ。
 そんなリアーヌの横をザームがベッティに向かって歩き出す。

「ーーえ、ちょ……ザーム?」
「あー?」

 リアーヌの問いかけに足を止め振り返るザーム。

「いや……どこ行くの?」
「……あの女とっ捕まえたら姉ちゃん捕まんなくていいんだろ?」
「ーーそれは……そう、かもだけど危ないからダメだよ」
「……こんだけ人数いんのに……?」

 ザームはそう言いながらリアーヌたちの周囲を守る護衛たちや、少し距離を取ったところから様子を伺っている生徒たちを見回す。
 その行動で、人数だけで考えるならば多勢に無勢なのか……と理解した護衛たちや、騎士科や専門学科の腕に覚えのある生徒たちが、互いに目配せをしあいながらジリジリとベッティへ近づいていく。
 そんな気配を察知したのか、リアーヌたちの会話で勘付いていたのか、ベッティは忌々しそうに顔を歪ませながら、周囲に向かって言い放つ。

「ーー来ないで! 離れなさいよっ! ……奪ってやるわよ……盗んでやるんだからっ!」

 その言葉にピクリと反応する生徒や護衛たちだったが、それでも目くばせをしあい、ジリジリとその包囲網を狭めていく。
 ーーただしザームだけは笑顔のコリアンナに諭され、大人しくリアーヌの側に控えることになったようだった。

「ーーなによ…… 本当に盗んでやるわよっ!」

 包囲されたことで、少し焦りながら喚くベッティの様子に、ゼクスは目を細めると、ニコリと笑い愛想のいい商人の顔を貼り付けながら口を開いた。

「ーー『強奪』のギフトは確かに存在する……ギフト名さえ分かってしまえば簡単に他人のギフトを奪ってしまえる、とても強力で恐ろしいとされるギフトの一つだ。 ーーけれど……そう言えば、よく『強奪』と勘違いされるギフトがありましたよねぇ?」
 
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