成り上がり令嬢暴走日記！

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「ーーだったらどうする？　ゼクス君、あのね？　私ならその女からコピーだって他のギフトだって奪えるんだよ？　他にももっと奪える！　ーー私の方が役に立つでしょ？　ゼクス君の力になれるよ⁉︎　ーー私と結婚した方が絶対幸せになれるからーー」
「ーー残念だけどそれは無理だね？」
「え……？」
「大体、オレの結婚相手への第一条件知ってる？　そこそこの貴族であること、だよ？　君平民でしょ⁇　しかもこんな騒ぎまで起こして……ーー幸せになれるわけないでしょ」
「そんなことない！　私は貴方の全てを理解してあげられる！　貴方の願いも夢も！　全部理解して応援して役に立てる！　爵位のことは心配しないで……？　私が守るから！　イヤな貴族やヒドイこと言う人たち全てから、貴方や家を守ってみせるから！」

（あー……ーーゼクスエンドの流れ、そのまま自分に置き換えるつもりなのか……ーーえ、いけんのか……？　あのエンドそんな簡単なエンドじゃ無かったような……？　いや、描写は誰のエンドも簡単なのよ。　結婚式の描写から二人が見つめあって微笑んでるシーンや笑い合ったり手を繋いでるシーンに『そしてその後二人は、互いに手を取り合い助け合って幸せに暮らしていくのでしたーー』ってメッセージが付くだけだからね？　……色んなところ端折はしょりすぎてる説明なんだってコレ！　最終的にどうにかなるかもしれないけど、一男爵が守護のギフト持ちと結婚しちゃったんだから、問題が怒らないわけないの！　そしてきっと『守護』のギフトは嫌がらせや誹謗中傷からは守ってくれない！　ユリアの自作自演じゃないなら、確実に守れない！）

「……全てのものから俺を守るから、俺が幸せになれるって？　ーームリだと思うけど？」

　肩をすくめながら答えるゼクスにベッティはムキになりながら言い募る。

「私だったら出来る！　私のほうが貴方を理解してるの！　私のほうが分かってあげられるの！　私のほうが貴方を愛してるのっ！」
「……残念だけど俺を幸せにできるのはやっぱりリアーヌだと思うよ？」
「なんで……？」
「……ーー少なくとも、俺誰かに幸せにしてもらいたい願望は無いんだよねぇ？　あと……ーーその“分かってあげられる”とかいうのも……あんまり好きじゃ無いかなー？」

　苦笑いを浮かべながらハッキリと拒絶の言葉を紡ぐゼクスに、ベッティはふるふると首を振りながら、じゃり……と音を立てながらジリジリと後ずさる。

「なんで……なんでよ……だってゼクスはーー」

　泣きそうな顔で何度も首を振りながら呟いていたベッティは、ハッとなにかに気がついたようにリアーヌに視線を向けた。