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「ーー確かにそんなウソ付く子は信用できないですね?」

 フィリップの分かりやすい説明にリアーヌは大きく首を縦に振りながら答えた。

「しかも、フォルステル家はそれをエサに多くの家と取引を交わしているんだ……そこに『守護の力が消えた!』なんてウワサだ」

 そう言われて初めてリアーヌはフィリップたちの言いたいことが理解できた。
 これで戻ったから平気だと言われても簡単には信じることが出来ないと感じたからだ。
 
「あー……ムリですね?」
「ああ。 守護の力を借りたくてなにかしらの取引や協力関係を結んでいる、もしくは結ぼうとしているのに、肝心な時に「盗まれてしまった!」では話にならないだろう?」
「確かに……ーーじゃあやっぱり……あの子の暴走なんですかね……?」
「今ある情報だけだとそう考えるのが妥当なんだがーー……かと言ってだから一安心だ、ともならないのがねぇ……?」
「ーー下手したら私は投獄エンドを迎えることに……!」
「ははは、流石にもうそれは無い。 我々はーー特にそこのラルフはリアーヌ嬢のギフトが強奪などでは無いと知っていますし、イザークだって貴女がウソなど付いていないと知っています」
「ーーそもそもリアーヌウソが苦手じゃない?」
「……それはそう」

 コロコロと楽しそうな笑い声を上げながら言うレジアンナに、リアーヌは苦い顔をし、少し拗ねたように唇を尖らせながら頷く。
 そしてそんなリアーヌにクスリ……とみんなが笑いをもらした時だった。
 サロンの入口の方が騒がしくなり「お、お待ちくださ……!」という制止の声とともにゼクスが駆け込んできた。

「リアーヌ無事⁉︎」
「……ゼクス様?」
「ぶ、じ……だぁ?」

 なんの問題も無く椅子に座っているリアーヌの姿に目を丸くするゼクス、そして説明を求めるように背後を振り返った。

「ーーおや。 ご無事でございましたか。 いやぁ私としたことがうっかりうっかり……」

 そんな棒読みのセリフを言いながらサロン内に入ってきたのはオリバーで、リアーヌの無事を確認するとその近くに膝を折りながら、優しく言い聞かせるように声をかけた。

「ーーお嬢様、少々トラブルでございます。 本日は俺か子爵、もしくはヴァルム様が迎えに来るまでここを出てはいけませんよ?」

 そんな言葉にリアーヌは首を傾げながらたずね返す。

「……出てけって言われたら?」

 その言葉にチラリとフィリップに視線を流したオリバーは満面の笑顔を浮かべながら口を開いた。

「全面戦争ですかね?」
「ええ……?」
「ーーいくらでも滞在してください? 例え深夜になろうとも解放させていただきますとも」
 
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