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「……実は本気でレオンに惚れていて、邪魔者たち共々退場してくれようとしているーー……わけは無いな……?」
「……おそらく彼女は素直な人間だ。 良くも悪くも……裏も表も無いんだと思う。 ーーだからそんな絡め手は使わないだろう……ーー使えないとも思うが」

(ーー良くも悪くも素直……? ああ、でも確かに周りに乗せられてるトコはありそう、かも?)

「つまり可能性はゼロ……ーーまぁ本気では無かったが、そうだとすれば全ての説明がつくのだがね……」
「そう思ってしまうぐらいには、どうにも……段取りのほうが……」

 フィリップの言葉に同意するようにパトリックも続けた。
 
「……やっぱりビアンカの仮説が正しいのかしら?」
「決めつけはよく無いがーー他に説明がつかないのも事実、だねぇ?」

 レジアンナの言葉にフィリップは困ったように笑いながら頷く。
 そこへクラリーチェが控えめに言葉を重ねた。

「ーー学院内で騒ぎを起こしたのも、ギフトが無くなったと明言してしまったのも、何も考えずにリアーヌ様を陥れたいだけなのだとすれば……その、言葉は悪いのですがーー庶民の方ならば、それで済んでしまうのでは無いかと……」
「あー確かに! ギフトの話は聞いたことありませんけど、盗んだ盗んでないなんて話で根回しだの準備だのは聞いたことありませんね? ……あ、偽物の証人とか共犯者とかなら聞きますけど」

 このリアーヌの発言により、集まっていた者たちは忙しなく視線のやり取りをして、新しい情報が入るまではその仮説のまま対応策を検討し合うことにしたようだったーー

「しかし……これではこの先どう転ぼうとも、多くの家が手を引くぞ……?」

 ため息混じりに言ったフィリップにレジアンナも同意するように頷きーーそれは他の参加者たちもそうだったのだが、唯一リアーヌだけは不思議そうな顔つきで首をこてりと傾げていた。

「……そんなに不思議?」

 リアーヌの態度に気がついたレジアンナが同じようにこてりと首を倒しながらたずねる。

「……だって守護のギフトだよ? どんな攻撃からも国ごと守れる力だよ⁇」
「……でも、本当に助けが欲しい時、また『誰かに盗まれたの! 無くなってしまったわ⁉︎』なんて言われかねないわよ?」
「そ、れは……」

 レジアンナの言葉にリアーヌが口ごもると、フィリップが重ねて説明の言葉をかける。

「本当に無くなっているかどうかなんて他人には分からない。 だからこそ今回のような態度を大勢の前で晒してしまったユリア嬢には、ずっとその嫌疑が付いて回るんだ。 嘘つきは信用ならないーーと言えば分かりやすいかな?」
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