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しおりを挟む「ーーえ、本当に? ……ってか、本当にギフトなんて盗めたんですね……?」
目を丸くして呆然とたずねるリアーヌに、困ったような笑顔を向けるクラリーチェたち。
リアーヌが視線をビアンカに向けて説明を求めると、ビアンカは肩をすくめながらシレッと答えた。
「そんなわけないでしょ……ーーいえ、ギフトを他人から貰い受けるギフトは存在しているらしいけど……ーー今回は違うわよ。 大方、そう言って騒いでまた貴女に汚名を着せようとでもしてるんでしょ」
「……え、でもそれってーーウソにならない?」
リアーヌの質問に答えたのは向かい側に座るレジアンナだった。
勢いよくリアーヌ方に身体を乗り出して、眉間にシワを寄せながら答える。
「明らかな濡れ衣よ! こんな話普通だったらすぐさま国が乗り出す事案でしてよっ!」
「……つまり国は乗り出してはいない……?」
「ーーあの女は今でも教室で涙ながらに「盗まれた」「どうして……?」と大勢の生徒たちに訴えてることでしょうよ」
(……今は授業中では……? え、ユリアにはそこまでの力がある……?)
「先生方も苦労なさっておいででしょうね……?」
リアーヌの疑問に答えるようにクラリーチェが困ったように続ける。
「あの女の後ろに居る方に気をつかっているんでしょうけど……ーーそれでも国から誰も派遣されてこないなんてありえないしーーつまりは誰かが騎士を止めているわけでしょ? ……後ろの方だって、これが茶番だと分かってるってことでしょーーああもうっ! どうして神様はあんな女に守護だなんてギフトをお授けになったのよ⁉︎」
勢いのままにバンッとテーブルを叩くレジアンナ。
その両方をそっと抱きしめるように掴んだフィリップは、そのままそっとイスに深く腰掛けるよう誘導する。
(……つまり、ユリアは私がギフト泥棒だって言い張って、私の外聞に傷をつけたくて「盗まれた!」とか言い出しちゃったってこと……? ……え? でもさ……⁇)
「……私が犯人だった場合、いつ盗んだことになるの? 今朝? この学院に忍び込んで⁇ それって警備部とも喧嘩するハメにならない……?」
リアーヌの言葉に、その部屋に集まっていた者たちは、肩をすくめたり大きくため息をついたり、思い思いの方法で呆れていることを表現してみせる。
そしてビアンカが顔をしかめながら意見を述べる。
「あの子と警備部は前回の殺人未遂件で完全に敵対してるわよ。 警備部が上げた“事件性なし”と結論付けた報告書も、どこぞの後ろの方が握りつぶしたとウワサですし?」
「ええ……? 私の無実……」
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