成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 場所をラッフィナート男爵家のサロンに移し、ゼクスは礼儀も挨拶もすっ飛ばして簡単な説明を始める。

「ーーまず、俺たちと彼女のいざこざというか、事情は聞いてらっしゃいますか?」

 ゼクスの質問にビアンカは少し首を傾げながら「花園での一件であればリアーヌから」と答えた。
 その答えに大きく頷いたゼクスはそのまま口を開く。

「ならば話は早いですね。 その時の彼女の言い分としては、黒幕はフォルステル家ってことだったんですけど、さっきは急に黒幕はボスハウト家で自分はリアーヌ人脅されたんだと言い出しまして……」
「ーーえ?」

 その説明にポカン……と口を開けて、ゼクスの顔を見つめるリアーヌ。
 そんなリアーヌに困ったように微笑みかけながら「だれも信じてないけどね?」と付け加えるゼクス。
 そしてその視線をビアンカに移すと、さらに説明を重ねる。

「彼女の言い分としては、花園ではリアーヌがそばにいて言い出せなかったのでウソを付いたそうです」
「ーー言い出せないからって友人の実家を悪者に……? 本当であっても非常識過ぎますわ」

 ゼクスの言葉に吐き捨てるように返すビアンカと、それに肩をすくめて同意して見せるゼクス。

「こっちとしても勘弁してほしいですよ……完全に悪意に満ちた彼女の作り話ですけど、その内容はボスハウト家やリアーヌを告発するものなんですよ? それをこの学院内で! ーー冗談じゃありませんよ」
「……災難でしたわね?」
「ーーあそこでリアーヌの姿を見た時は、本当に天の助けだと思いましたよ……」

 肩を下げながら言うゼクスに、ビアンカは気の毒そうに笑いながら答える。

「そんな会話を女生徒としていたーーよりは、そんな話をされていたみたいだけど、すぐに婚約者と仲良く立ち去って言ったーーのほうが心象は良いでしょうからね?」
「それもありますしーー彼女……ものすごい強引で……」

 ははは……と乾いた笑いを浮かべながら遠い目をするゼクス。
 そんな態度から、リアーヌたちは(ベッティが相当しつこかったんだろうな……)という感想を抱いた。
 そして二人顔を見合わせるとポソポソと話し合う。

「ーーきっと親しいご友人を参考になさったんでしょうねぇ?」
「……あそこまではやってないから私はセーフーーとか?」

 リアーヌの答えにビアンカは嫌そうに顔をしかめながら「ないと言い切れないのが恐ろしいわ……」と呟いた。

「……全くの思いつきだったけど、散歩してて良かったね?」
「涼しい風に感謝、ですわね?」

 クスリ……と、笑いながらイタズラっぽい瞳でゼクスを見つめるビアンカ。
 ゼクスは大きく息をつきながら感謝するように大きく頷いて見せたのだった。
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