成り上がり令嬢暴走日記！

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「……それって絶対なんかしねーとダメなの？」
「え……？」

　今まで無言で出されたお茶請けを食べていた弟ザームが首を傾げながらたずねた。

（ついさっき、母さんが「このままじゃダメなのよ」って言ってたやろがい……）

「姉ちゃんのギフトはコピーなんだから、変なこと言われてるわーって堂々としてりゃ良いじゃん？　だって貴族ってそういうもんなんだろ？」

　不思議そうにたずねるザームに、リアーヌたちどころか、オリバーたちも視線を彷徨わせながら「それは……」と、視線を彷徨わせ始める。

（……ーー確かに、事実無根で証明可能な場合、妙な言いがかりをつけられても堂々とすべし！　って、教わった気がするけど……え、この場合はどうなの？　証明は可能とみなして構わないの？）

　これは貴族として常識とも言える考え方ではあったが、ここまで騒ぎが大きくなった場合でもこの対処法が通用するのかどうか、答えを知る者はいなかった。

「堂々としてろってのは、その通りだなぁって思うけど……ーーでも、何の解決にもなってないっていうか……」
「解決する意味あんの？　だって姉ちゃんどうやったって強奪なんか出来ねぇのに？」
「……コピーは出来ちゃいますよ？」
「どうやっても被害者なんか出ねぇじゃん」
「ーーそれはそう」

（だって私ができるのはコピーだけだから。　けど……ーーなんだろう、なんか……流石にそれじゃダメでしょーって意見と、意外に悪く無い気がする！　って意見が私の中に混在してる……）

「しかも姉ちゃん、コピーしたての時なんか、弱っちくってダメダメだろ？」
「なれてないだけですけどー⁉︎」

　ムッとしながら言い返すリアーヌ。

「でもコピーしたヤツのより弱いだろ？」
「……まぁ、すぐに使い慣れている人と同じようには使えないけど……」

（コピーしたギフトで、最初から元の持ち主と同じくらいのレベルで使えてたの『スパ』ぐらいじゃないかな？　ーー持ち主さん、ほとんど使って無かったっぽいけどー）

「だったら誰も怒ったりしねーだろ」
「……怒る？」
「ーー強奪されないから、ということでしょうか？」

　リアーヌの疑問を補足するかのようにヴァルムがそっとたずねた。

「んー、取られなくても、今の自分と同じギフトが誰かのものになったら嫌だから、みんな騒いでるんだろ？　今まで必死に練習して力伸ばして威力高めてさ？　なのにそれを「はいコピー」で持ってかれたらイヤじゃん？」
「あー……？」

　ザームの説明に（いやでも、私のギフトはなにも変わらず私の元に残るわけで……？）と、首を傾げたリアーヌは曖昧な返事を返す。