成り上がり令嬢暴走日記！

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「……ではお聞きしますが、仮にーーあくまでも家庭の話ですが、貴女のおっしゃることがすべて真実だったとするならば、なぜ当家のお嬢様は、授業を受けることも許されず、たった二人のお付きを連れて警備部に連行されているのかしら？」
「こちらの方々がボスハウト家に格別の配慮を見せるというのであれば、なぜこのような不名誉につながりかねないことをなさるのかしら……ーー貴女説明できまして？」

　カチヤたちの言葉に、ユリアは視線を揺らしながら口篭ったが、すぐに反論の言葉を口にした。

「それはーーお金で好き勝手しているってことがバレないようによ！　私はその人が犯人だと思うって言ってるのに、話も聞かれなかったら怪しいじゃない！」

（やっぱりお前の言いがかりかい！　しかもまた証拠無いんじゃないか！）

　リアーヌはカチヤたちの背後にかくれながら、キュッと顔をしかめながらユリアを睨みつけた。

「ーー呼ばれなければ怪しい……？」

　ユリアの言葉にカチヤはそう言い返しながら盛大に鼻を鳴らし、コリアンナも呆れたように苦笑を浮かべていた。

「……それ、本気で言ってらっしゃいます？」

　二人は少しの間、へらり……と半笑いでユリアを見つめていたが、二人から感じる不気味な圧に気押されるように「なによ……」とユリアが数歩後ずさった瞬間、カチヤたちの纏う空気が一変した。
　二人から発せられる殺気にも似た怒気に、警備部の者たちも思わず反応しそうになる程度には強いもので、ユリアは顔色を悪くしながら身体を大きく震わせた。

「ーー我らが使えしボスハウト家は王家に連なる家ぞ……？」
「その家の姫ぎみに対し、警備部に呼び出されなければ怪しまれる？　ーー相手はこの国の王位継承権を持つお方ぞ！　なにがおかしなものかっ！」
「……王位、継承……？」

　カチヤたちから威圧的に言われた言葉に再び視線を左右に揺らすユリア。
　ーーそしてそんなユリアを見ながら、リアーヌもまた目を白黒させていた。

（ーーえ？　私？　今、私の話をしていらっしゃいます……？　ーー私、王位継承権なんてもの、いつ貰ったんですか⁉︎　無理やりボスハウト家の人間になっちゃったのは、大奥様の許可もあったし、ヴァルムさんたちだって認めてくれたからなんの問題も無かったけど、流石にその辺りはお返ししないとマズいんじゃない⁉︎　返却口はどこ⁉︎　誰に言えば返せるのっ⁉︎）

「……ーーウソよ、貴女たち私がなにも知らないと思って騙そうとしてるんでしょう⁉︎　だって子爵じゃない！　私は伯爵家の人間なのよ！　その子に王位継承権があるなら、私にだってあるはずだわ！」

　そう言い放ったユリアの言葉で辺りに静寂が訪れた。