成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

文字の大きさ
上 下
887 / 1,038

887

しおりを挟む
 そこまで考えて、リアーヌが戸惑いの視線を自分に向けていることに気がついたゼクスは慌てて笑顔を取り繕う。

「リアーヌはいつも通り、言質取られないように気を付けてくれたらいいよ。 あ、でもどんな時でもあの子の呼び出しやお誘いがあったら俺に報告しないで言っちゃダメ。 分かった?」
「あの子からお誘いされたり呼び出されたら、確実にそうすると思うので平気かと……ーー言質はいつも通り「うふふー」で乗り切りますし!」
「……意外にその返し有効だったりするもんね……?」

 ゼクスはリアーヌの若干ニュアンスを変えた「うふふー」のバリエーションの多さと使い勝手の良さに、若干の羨ましさまで覚えていた。

「父さんが本物の社交界で本物の貴族たちに使ってる手なので実用的なんです!」
「実用的、かぁ……?」

(ーー実用的ってなんだっけ……)

 そんな会話をしながらのんびりと散歩を楽しんだのち、再び紅葉エリアにやってきた二人はアウセレの甘味とお茶、そして美しい紅葉景色を楽しんだのだったーー



 課外授業から数日だったある日ーー
 その日ようやく、全ての根回しが完了し、私のギフト『コピー』が文字や絵だけではなく、他人の持つギフトもコピーできるものだということが、学院側から発表された。
 それに付随して国側も事実確認のために人をボスハウト家に派遣して、リアーヌの『コピー』が本当にギフトをコピー出来るのか? そしてその方法は真実なのか? という検証がされ、本日めでたく、リアーヌたちの主張が全て真実であると国に認められることになったーー

(調べるにあたって、治癒ギフトをコピーしちゃったんだけど……タダで治癒とか、こんなにお得で良いんだろうか……?)

 リアーヌは無料でギフトをコピー出来たことに戸惑っていたのだが、その周囲は、この件が誰からの妨害もなくあっさりと終結してしまったことに戸惑っていた。

 ボスハウト家では、例え王妃が手を出そうとしてもそれに対抗すべく策を考え、人員を配置していたのだが……それのどれも使うことなく無事に発表されてしまい、こんなにスムーズに運ぶわけがないのに……と、根拠のない不安に苛まれていた。
 そしてそれはラッフィナート家もそうで、大勢の者たちを使いユリアやベッティ、フォルステル家を監視していたのだが、こちらもなんのトラブルもなく無事に発表されてしまい「なんなら、ボスハウト家側が公言するという動きを知らなかったんじゃ……? ーーいや、先に仕掛けておいてそんなはずは……⁇」と首を傾げあっていた。 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

メイドを目指したお嬢様はいきなりのモテ期に困惑する

Hkei
恋愛
落ちぶれ子爵家の長女クレア・ブランドンはもう貴族と名乗れない程苦しくなった家計を助けるため、まだ小さい弟の為出稼ぎに行くことにする。 母の知り合いの公爵夫人の力を借りて住み込みのメイドになるクレア。 実家である程度家事もやっていたり、子爵令嬢としての教育も受けてるクレアはメイドとしては有能であった。 順調に第2の人生を送っていたのに招かざる来訪者が来てからクレアの周りは忙しくなる。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

【本編完結】政略結婚お断り、逆境に負けず私は隣国で幸せになります

葵井瑞貴
恋愛
「お前は俺の『物』だ」――夜会で傲慢な侯爵子息テオに見そめられてしまった令嬢ソフィア。 女性を物扱いする彼との政略結婚から逃れるため、一人異国へ旅立つ――。 そこで出会ったのは、美貌の貴公子アーサーと個性豊かな仲間たち。 新天地で平穏な日々を送っていたソフィアだが、テオが追って来て国に連れ帰ろうとする。 さらに、祖国とリベルタ王国が戦争間近の緊張状態になり、ソフィアは貴族の陰謀に巻き込まれていく。 宿命としがらみ。貴族の思惑と陰謀。入り乱れる恋の矢印と絡み合う恋模様――。 主人公ソフィアを中心に様々な人の縁が広がり交わって、やがて一筋の明るい未来に繋がる。 これは、どんな逆境にも負けず、自分らしく生きることを諦めない、令嬢ソフィアが幸せになるまでのラブストーリー。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

【完結】ちびっ子元聖女は自分は成人していると声を大にして言いたい

かのん
恋愛
 令嬢に必要な物は何か。優雅さ?美しさ?教養?どれもこれも確かに必要だろう。だが、そうではない。それがなければ、見向きもされず、それがなければ、壁の花にすらなれない。それとはなにか。ハッキリ言おう。身長である!!!  前世聖女であったココレットが、今世は色恋に花を咲かせようと思っていた。しかし、彼女には今世身長が足りなかった。  これは、自分は成人していると声を大にして言いたい元聖女のはじまりの話。  書きたくなって書いた、勢いと思いつきのお話です。それでも良い方はお読みください。

処理中です...