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「ああ。 ーー彼女になにか含むところがおありならば言葉にすることをお勧めしますよ。 ……それとーーどんなつもりがあって我が婚約者を悪者に仕立て上げたのかは知らないが、その報いは必ず受けることになると、お覚悟を?」

 ゼクスの言葉にベッティは慌てて首を振る。

「ち、違うんです! 私はーー……全部頼まれたことなんです……!」

 その言葉にリアーヌは驚いたように目を見開くが、ゼクスは冷ややかな目を向け続けていた。

「頼まれた、ですか?」
「そうなんです!」
「ーーそれは……一体誰に?」
「それは……」

 答えを言い淀むベッティに畳み掛けるように質問を重ねるゼクス。

「おうちの方ですか? それともクラスメイトーーいや、他の貴族かな? ……まさかユリア嬢本人なんてことはーー?」
「あ、いや……その……」
「ーーもしかしてもっと上からの指示ですか?」

 口ごもるベッティにゼクスは次々と候補を上げていく。
 その言葉に視線を向く揺らしていたベッティは、やがて決意したようにグッと手を握り締めながら口を開いた。

「ーーフォルステル家……の方です」
「ほう……ーー義理とはいえ、ユリア嬢のご家族があんなことを頼んだーーと?」
「り、理由は分かりません! そんなの言われなかったし……ーーあ、ある日フォルステル家の使いがうちにやって来て、協力しろって……フォルステル家は王妃様とも面識があるから、うちなんてどうにでも出来るんだぞって言われて……私怖くって……」
「脅されて犯行に及んだ、と?」
「その……ケガをさせるわけじゃないし、本当にちょっとした嫌がらせだけだって言われて……」
「ーーフォルステル家の者は他にはなんと? 具体的な目的は?」
「そ、れは……ーーその、詳しくは聞いてませんが……だとは言っていたような……?」
「ーー警告……?」

 ベッティの話をゼクスの隣で聞いていたリアーヌは、その話に眉をひそめながら首を傾げていた。
 ゲームのどのストーリーに当てはめて考えてみても、フォルステル家がユリアに警告するために嫌がらせをする、という行為が理解できなかった為だ。

(どのルートの話に進んだらフォルステル家にそんなことされるの……? そもそも、フォルステル家ってそこまで主人公に絡んでくる家じゃ無いよね……? いい意味でも悪い意味でも基本は放置だった気がするけど……ーーフォルステル家の名前を語ってベッティを脅した……? ーーあれ? でもそんなことがあったなんて報告聞いてない気がするけど……ーー最初しか連絡取ってなかったんだったら、ヴァルムさんたちだって分からないこともあったり……?)
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