成り上がり令嬢暴走日記！

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「あー……」

（そっか……クラリーチェ様クラスになると、あのくらいご自分で対処出来ないと問題になっちゃうのか……ーーそりゃそうか。　順調に行けば、未来の王妃だもんなこの人……）

　リアーヌはそう納得しながらも、友人たちによって髪や制服を直してもらっているクラリーチェにホッと胸を撫で下ろしているリアーヌの耳に、ユリアの怒声やユリアの名前を呼ぶ複数の声が聞こえる。
　そちらに目を向けると、周りに当たり散らしながら去っていくユリアと、小走りにそれについていく数名の生徒たち、そして……そんなユリアの背中を睨みつけているベッティの姿があった。

（ものすっごい怖い顔してる……ーーそりゃそうか……ここにいるのはみんなキャラじゃなくて人間だもんなぁ……？　そりゃ理不尽に扱われたら嫌だと思うし怒りもする……ーーつまり、それでも友達続けてるベッティは……打算でユリアと一緒にいるんだ……君だけは、純粋に親友の恋を応援するキャラでいてほしかった……ーーいや、きっと元々はそういう子だったんだよね？　でもユリアにいいように扱われて、そんな風になっちゃったんだよね⁉︎　ーーきっとそう。　……私の親友はきっと純粋に私の恋を応援していてくれたに決まってる……！）

　ユリアたちが立ち去ったほうを見つめながら、そんなことを考えていたリアーヌにそっとゼクスが声をかける。

「ーーずいぶんと静かになったことだし、そろそろ俺たちも鐘とか鳴らしてみる？」
「……です、ね？」

　リアーヌは内心で（この状況で鳴らすの……？）と考えたが、それが顔に出たのか、ゼクスは苦笑しながら言葉を重ねた。

「ーーこんな時こそ鐘を鳴らして幸せにならないとね？」

　その言葉にリアーヌはようやくこの騒ぎを客観的に見つめることが出来たようだった。

（ーーつまり今の騒動は、鐘を鳴らした幸せなカップルが、すぐさま女性関係のトラブルに巻き込まれたってことなのでは……⁉︎　ーーマズい！　マズいですよ⁉︎　そんなウワサが流れたら、ここの評判ガタ落ちですよ⁉︎）

「ーー必ず幸せになりましょうね⁉︎」
「……やる気になってくれて嬉しいけど、あの鐘ってそんなに気合いを入れて鳴らすものじゃ無いような……？」
「なに言ってるんですか⁉︎　こういうのは少しのウワサが命取りになるんですよ⁉︎」
「いや……言いたいことは理解できるけどね……？　ーーでもほら、最終的には劇的なプロポーズでハッピーエンドだっただろ？　しかもお相手は公爵家のご令嬢ーーいい意味でウワサにはなっても、悪い意味ではならないんじゃ無いかな……？」
「ーー確かに……？」