成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 リアーヌの話にレジアンナは瞳を輝かせる。

「まぁ……そんなお話がございましたのね!」
「ーーでも、ここのは単なる置き物の鳥居だから、そんな心配はいらないんだけーー」
「異国の神にレジアンナが見初められてしまったら大変だ……!」

 リアーヌがネタバラシのように話し始めた言葉を遮るように喋り始めたフィリップは、自分の腕に添えられていたレジアンナの手を取り、ギュッと力強く握り締めた。
 それは単なるお芝居のようにも、本気でそれを危惧しているようにも見え、レジアンナは頬を染めながら戸惑うように口を開く。

「そんな心配……ーー私はずっとお側におりましてよ……?」
「本当かい? 決してこの手を離してはいけないよ? ーー私の女神……私だけのレジアンナ」
「フィリップ様……」

 広くとってあるとはいえ、道のど真ん中で人目も憚らず見つめ合う二人に、リアーヌはチラリとゼクスに視線を送りながら小声でたずねた。

「ーーこれ、私のせいでしょうか?」
「……きっかけはなんだって良かったんじゃないかな……?」
「ーー……あ、お二人ともアウセレの甘味が楽しめるカフェには行きまして? アウセレで仕入れた向こうのお茶も楽しめて、二階からは千本鳥居を上から眺めめられるようになってるんですよ。 風通しもいい場所なんでゆっくり休めると思います」
「ーー行ってみたいですわ⁉︎」

 リアーヌの言葉にすぐさま反応したレジアンナは、ねだるようにフィリップを見つめる。

「ーー仰せのままに? ……けれどこの手を離してはいけないよ?」
「っ……はい!」

 ニヨニヨと歪みそうになる顔を必死に取り繕うレジアンナと、そんなレジアンナを見つめながら幸せそうに顔を溶かしているフィリップたちの背中を見送りながら、リアーヌは思わず呟いていた。

「ーーさっさと結婚しちゃえばいいのに」
「……結婚したらパワーアップしたりしてね……?」
「…………」
「…………」

 そんな光景がありありと思い浮かんでしまった二人は、無言で顔を見合わせ、そしてそっと逸らしあう。
 そしてーー

「ーー俺たちも散策しよっか⁉︎」
「ですね⁉︎ わー千本鳥居楽しみー!」

 先ほどまでの会話を無かったことにしたようだった。

「ーーでは、お手をどうぞ?」
「ありがとう存じます」

 手を取り合い、ゆったりとしたペースで歩き始める二人。

「花園に二人で来るのは久々だね?」
「そういえば……前回はーー……」

 そこまで呟いて、前回来た時の騒動と、ゼクスとの約束を思い出したリアーヌ。

「……えっと」
「ーーもしかしてなにか思い出したりしたー?」

 のんびりと歩きながら、ゼクスはニコリとリアーヌに微笑みかける。
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