成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 リアーヌは熱く語り出したビアンカに死んだ魚のような目を向けて曖昧に頷いた。
 そして、そっと視線を外しながら言葉を続ける。

「ーーでももう終わったことだからどうしようもないね……?」
「ーーつくづく悔やまれますわ……」

 不機嫌そうに顔をしかめたビアンカに肩をすくめながら、リアーヌは心の中で一人グチる。

(……私はビアンカがアロイスの研究に賛同する前にそれを阻止できなかったことを悔やんでいるよ……ーーイヤな予感とからしないから、私にはなんの実害もないんだろうけどさっ!)

「あー……子爵のギフトの話は置いておいてーー……ボスハウト家としてはコピーに対する警告として対応するんだね?」

 ゼクスは苦笑いを浮かべながらリアーヌに確認を取る。
 どうやらボスハウト家の考えと決定が知りたかったようだ。

「ーーラッフィナート紹介としてはどのように……?」

 ビアンカは気を取り直すように二、三回咳払いをしてから、ようやく情報収集を開始した。

「あー……結果としてはボスハウト家と同じ、ですかね?」
「ーー結果としては、ですか?」
「ええ。 単なる暴走ならばほっておいても問題はありませんーーそんな考え無しに付き合ってられるほどヒマでは無いので」
「……ーー概ね同意いたしますわ」

 気がつくと三人だけになっている教室の中、ゼクスたちはいつもよりも少しだけ本音をさらけ出しながら、肩をすくめ合う。

「そうなると、警戒すべきはコピー持
いに対する警告だった場合です」
「ーー確かに警戒しておくに越したことはございませんわね?」
「ええ」
「……ーーってことは……あの方は犯人なんかいないと分かっていて、私にあんな言いがかりを……⁉︎」
「あー……それは、意見の分かれるところだね……?」
「ーー知らなかったかもしれない……?」
「正直、どっちでも良いかなって思ってる……」
「ええー……」
「あっちの考えを知るのは大事だと思うけど、今はそれよりもどう対処すべきなのかを考えるべきだと思うし」
「ーーそれは……そうかもですね?」

 ゼクスの言葉に少しだけ納得がいかなそうに首を捻りながらも同意するリアーヌ。
 そんなやりとりをする二人にビアンカが話しかける。

「ーーそれにしても……ここまで考えも望みも読めない相手との駆け引きは……恐ろしいものがございますわね?」
「……仕掛けられた時にはすでにーーだなんて笑えませんもんねぇ……?」
「ーーえ……?」

 ゼクスとビアンカの会話に、不安そうな声を漏らすリアーヌと、それを聞きとって、慌ててフォローを入れるゼクス。

「いや、そうならないようにうちも、ボスハウト家も動いてるんだけどね?」
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