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(ーーうん。 今のは甘んじて受け入れようと思う……)

 そんなビアンカとのやりとりに、レジアンナや友人たちがコロコロと楽しげな笑い声を上げながらもテキパキと予定を組み上げていく。

 ーーそしてその数日後、勉強会はつつが無く開催され、レジアンナの部屋の中に飾り付けられた、クラリーチェ好みの内装やお菓子、花ーー自分が好ましいと感じるものたちで埋め尽くされたその部屋に、クラリーチェはいたく感激し、楽しい時間を過ごせたようだったーー
 そして、やはりこの事件に巻き込まれたことでご両親からお言葉があったらしく、出来うる限り自分で対処する! と、決意を新たにしていた――

(……なにかあったら向こうのおばあさまやヴァルムさんに泣きつく気満々な私には耳の痛い話だったぜ……ーーいや! でもほら! ゼクスは『頼って欲しい』って言ってたわけだから、ちょっとぐらい頼っても……ちょっとだから……)
 


 そんな楽しい勉強会から数日ーー
 学院の中ではユリアに対する、とあるウワサが流れるようになっていたーー
 
 いわく……
『なぜだかは知りませんけれど……ーーあの方がされるものや盗まれるものの中に、本当に大切にしているものは、絶対に入らないらしいですわよ……?』
『部屋を荒らされたっていうのに、されたことは服を床に散らかされただけなんだって! ……別に不幸を願うわけじゃないけど……ちょっと、ねぇ……?』

 ーーつまりは、ユリアの自作自演を疑う者たちが増えてきたということだった。
 そのウワサを爆発的に広めたのは、ユリアの部屋が誰かに荒らされた際、ユリアが大切にしていたスクラップブックや家族からの手紙にはなんの被害もなくーーもっと言ってしまえば、服は床に散らばっただけで大した汚れも無く、部屋自体も少し家具を荒らされた程度で、なんの被害も無かったことが原因だった。

(……まぁ? 鍵をかけたはずの部屋が誰かに荒らされてたら、それだけで恐怖だけど……ーー話を聞く限り、ちょっと生ぬるいよねぇ……? だって、イメージとしては服はズタボロ、踏みつけられた跡とか付いちゃってて、大切なものは壊されてーーってのが普通……というか王道? ……まぁ、犯人がお嬢様がたたちだったらワンチャンありそうだけど……ーーなんなら私が受けたより生ぬるい気がしてるんだよなぁ……? 犯人はユリア傷つけたくてやってるわけでしょ? ……じゃあやっぱり違和感、感じちゃいますよねー?)
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