成り上がり令嬢暴走日記！

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　クラリーチェたちだけの話ならば、ここまで過剰な反応はしなかったのだが、リアーヌが自分の無実も証明しないとーーと発言したことで、他人事では無くなっていた。

「自作自演だとバレないことが前提だがーー相手の評判を下げつつ同情が買える……悪くは無い手だな」
「ーーそれが真実なら、犯人は伯爵家が雇ったという線も浮上しますよ？」

　オリバーの話にゼクスが付け加える。
　ゼクスはユリアが嫌がらせを訴える現場を遠目からではあったが目撃しており、その様子からどうしても自作自演には見えないようだった。

「……確かに。　ーーかの方に、そういった腹芸は難しそうですね」

　困ったように眉を下げ肩をすくめるオリバーに、リアーヌは（そうなんだ……？）と、意外に感じていた。
　リアーヌの中では今回の事件はほぼ自作自演であったのだが、周りの者たちはそう考えてはいないようだった。

　「ーー真実味も増しますしね。　……そして被害者が加害者を糾弾するーー人々が簡単に動きそうなストーリーです……そうなってしまえばあの方の力も加わって、確たる証拠など必要なくなるかもしれません」

　オリバーたちの言葉を聞いて、ゼクスも険しい顔つきで言う。
　あまり考えたくはないが、守護のギフト持ちを害していたというウワサが、真実味を帯びて広まってしまえば、それは充分に醜聞となってしまう。
　ーーそして、やっていないことの証明は、悪魔の証明とも言われるほどに難しいものだったのだ。

「厄介だな……」
「そうね……しかも手足になる者たちも、となるとーー」
「……それってつまり、取り巻きや使用人に頼んでってことですか？」

　リアーヌはアンナの言葉に眉を下げながらたずねる。

「そうなります……ーー不幸中の幸いか、当家はまだまだ人手不足ですが、ミストラル家やシャルトル家には充分な人手があり、ご友人も多いーー疑いを晴らすにはそれら全てのアリバイや不可能であるという証拠が必要となってしまいます」
「うわぁ……」
「これが普通の場合なら、証拠も無く疑いを向けて……と、逆に相手を非難できますが……」
「ーーあの子の場合は無理かなー？」

　アンナの言葉をゼクスが引き取り、大きなため息混じりに言った。

「……対処なし？」
「いやいや、そこまでではないよーーリアーヌに関しては、だけど……」
「つまりレジアンナやクラリーチェ様は……」
「ーー私としてはお伝えした方が、と考えますが……？」

　リアーヌの言葉に、ゼクスはオリバーたちに視線を移しながら提案する。
　その言葉にオリバーたちは視線を交わし合い頷き合う。