成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 リアーヌは唇を引き締めながら、少し肩をすくめる。
 保身のために“なにも喋らない”という選択肢を取るようだった。

「……どうも、少々分かりやすい手段でを刺したかたがいるようですね」
「クギ……」

 ゼクスの言葉にレジアンナがピクリと反応する。
 それに肩をすくめただけで応え、ゼクスは話を続ける。

「あー……己の立場というものを、もう一度考えてみてはどうでしょう? ……という忠告と共にーー可愛らしいを?」
「あら羨ましい……」
「レジアンナ?」

 リアーヌは無言を貫こうとしていたのを忘れ、レジアンナにツッコミを入れていた。
 そんなリアーヌの呼びかけに、可愛らしくチロリと舌を見せ、クスクスと笑いながら答えるレジアンナ。

「あら嫌だわ、わたくしったら……」

 そんなレジアンナの言葉に周りの友人たちが同調するようにクスクスと笑い始める。
 その笑い声が収まった所で、ゼクスはようやく話の続きを話しはじめる。

「どこのどなたが忠告したのかはまだ掴めていませんが……ーーいらぬ詮索は皆様も望まれないでしょうから、一応のご報告を、と思いまして」

 ゼクスは言葉を選びながら「ユリアに嫌がらせしたやつが出たってさ。 ユリアはみんなが犯人だって疑ってるみたい。 関係ないと思うけど一応教えとくね」と伝えていた。

「……わざわざありがとうございます」
「いえいえ」
「ーーどちらの方か分かりましたらリアーヌにも教えてあげますわね?」
「ありがとう……?」

 リアーヌに笑顔で話しかけたレジアンナはそのまま壁際に控えるメイドにチラリと視線を走らせた。
 その視線に小さく頭を下げそそくさと教室を出て行くメイド。

 根も葉もないウワサだからこそ、嫌疑を向けられた側がしていないことを証明するのは難しいーーならば真犯人を特定することのほうが、容易だとレジアンナは判断したようだった。
 情報提供の礼がわりなのか、特定した人物をゼクスにも伝える約束を取り交わす。
 ――リアーヌだけはよく理解できていなかったが、ビアンカが隣でそのかいわをきいていて、ゼクスにはキチンと伝わっている話なので、話の食い違いなどは、おこるはずも無い。

「ーー今日、一緒に帰ろうね?」
「ぇ、あ……ーーはい?」
「じゃあ放課後」
「はい……」

 ゼクスとしては、ミストラル家の情報網ならば放課後まで待てば実行犯程度は見つけられるであろうと考えてのことだったが、リアーヌは首を傾げながら(今日はなんの話し合いするんだろう……?)と、疑問符を頭の周りに飛ばしているようだったがーー
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