【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「……では値段交渉は後日、日をあらためてということで」
「よぅし! ーーようやくアンタらと出会えて良かったと思えたぞ!」

 そんなシンイチの心からの言葉に、リアーヌは目を見開きながら抗議するように口を開いた。

「あんなに買ったのに⁉︎」
「だからだけどな⁉︎」
「ええ⁉︎」

 心の底から驚いているリアーヌに、シンイチはこめかみ辺りを抑えながらゼクスに視線を向ける。

「よぉ兄ちゃん……ーーあー……かまわねぇか?」

 ゼクスことを正しく認識シンイチは、困ったように眉を下げながら、今まで通りの対応で良いのかとたずねる。
 いくら他国のこととはいえ、大きな商会のことだ。
 ラッフィナート商会の嫡男、ゼクス・ラッフィナートは男爵を叙爵したーー程度の情報は当然得ていた。
 可能性は限りなく低いが、不敬だと難癖をつけられる事態は避けたかったようだ。

「かまいませんよ。 ーー本当に今日はお忍びでの買い物のつもりだったので」
「……最初から仕組んで来たわけじゃねぇって?」

 ゼクスの言葉にピクリと反応したシンイチは、眉を引き上げながら皮肉げに言う。
 ゼクスの偶然だという主張を全く信じていなかった。

「信じてもらえないかもしれませんがーー本当なんですけどねぇー?」
「……――ならいつ気がついたんだよ?」
「そうですね……最初は店の看板。 フセヤ商会と書いてありましたので」
「……店の名が同じことも無くはねぇだろ?」
「店印の紋まで同じ、ということはないでしょう?」
「あー……そりゃ、そうだわな? ――俺のことも元々知ってたのか?」
「……そこはーー他の方々の態度で、もしや……と、さっきの会話が決定打ですかね?」
「うまいこと乗せられたってわけかい……」

 シンイチはそう言って大きなため息を吐きだし、頭を掻きむしりながら言葉を続ける。

「あーあ……貴族になりあがろうだなんて商人なんざ、ろくなヤツじゃねぇと思ってたが……ーーこんな妙な女連れ歩く変人のろくでなしのほうだったとはなぁー」

(ーー私今、すごいナチュラルにディスられましたけれど……? こんな目の前にいるの気妙な女って……)

 リアーヌがヒクリと頬をひきつらせるその背後では、アンナとオリバーがにこやかな笑顔を浮かべながら冷ややかな視線をシンイチへ向けていた。
 それに気がついたゼクスも頬をひきつらせながら、慌ててシンイチに言葉をかける。

「シンイチ殿! こう見え――いえ、その……今はお忍びですので、そう見せかけてはおりますが、こちらのリアーヌ嬢はれっきとした貴族のご令嬢で す……!」
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