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 ゼクスは店員の言葉に困ったように笑いながら答える。

「なるほどぉ……?」

 そう答えた店員はそのまま顔をしかめながら更に口を開いた。

「くっそぉ……まんまと思惑にハマったなぁ……」

 そう言いながら悔しそうにガシガシと頭をかく店員。

「……ダメ、なんです?」

 そんな店員の姿を見つめながらリアーヌは不思議そうに首をかしげた。

(別にこの人はなんのそんもしてないのに、なんでこんなに悔しがってるの……?)


「……ダメじゃ無いけど、ねぇ?」

 そう答えたゼクスが声をかけたのは、悔しそうにしている店員、その人だった。
 店員はぶっすりと顔をしかめながら答える。

「……他の商人の思惑にハマると、なんか負けた気になるだろ?」
「ーーええ……?」
「ーー分かります……」

 リアーヌとゼクスは同時に全く違った反応を返し、店員はゼクスと無言のままに固い握手を交わし合う。
 その光景を見て、なんだか疎外感を感じたリアーヌは、少し視線を揺らしながら口を開く。

「……私も分かりますし。 ーーちゃんと悔しいですし」

 そんなリアーヌの態度にクスリと笑ったゼクスは少しからかうような視線で「そうなんだ?」とたずねる。

「もちろんですし!」
「ふふっ ならリアーヌも立派な商人だね?」

 その言葉にリアーヌは意味もなく胸を張って答える。

 そんな二人のやり取りにケラケラと声を上げて笑い出す店員。

「あははっ! いや本当に仲が良いなぁ? うちは大体ここら辺で店構えてるからよ、ま他甘い果物が食いたくなったら会いにきてくれや!」
「ぜひ」

 そんな会話と共に売買を完了させた一行は、たくさんのメロンを抱え、帰路に着くのだったーー


「このメロン、氷魔法で冷やして食べましょうね!」
「あー良いねぇ?」
「あ、これでかき氷のシロップ作っても美味しそう! ーーそれとももういっそメロンそのものを凍らせてシャーベットにしましょうか?」
「ーーうんうん。 他には?」

 そんな会話をしつつ、一行はバザールを後にするのだったーー



「ーーうなぎ⁉︎ これ食べても良いんですか⁉︎」

 目の前に広がる数々の和食ーーアウセレ料理に、リアーヌは完成を上げながらテーブルに走り寄った。
 その部屋は畳の部屋に絨毯を敷き、そこにテーブルと椅子を並べた、豪華で上品な和モダンな空間だった。

「ちょ、リアーヌ……!」

 急に料理に向かって行ったリアーヌをゼクスが小声で呼び止めるが、リアーヌの瞳には、もはや食べ物しか写っていなかった。
 顔色を悪くするゼクスの後ろには、もっと顔色を悪くしているアンナとオリバーの姿も見えたーー
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