成り上がり令嬢暴走日記！

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「ばっちゃ、このお嬢ちゃんかなりの洒落モンだぞ？　この髪飾りとこれ、それとこのリボンも合わせて髪に飾って、飾り紐の結び目にはこっちの髪飾り付けるんだってよ」
「へぇ……？　ーーこりゃ良いね？」
「だよな⁉︎　髪飾りも飾り紐も爆売れ間違いなしだ！」
「ーーお嬢ちゃん、このババが着付けるで、着て帰ってみんか？」
「ーーえ？」
「ほれ、そこの姉さんの勉強にもなる。　見聞きするだけより実際にやってみんと……なぁ？」

　リアーヌは店主にたずねられ、意見を求めるようにアンナを見つめた。
　するとアンナは軽く頭を下げながらリアーヌに願い出る。

「ーーお許しいただけるのでしたら……」
「えっと……じゃあお願いします……？」
「ーー広告塔に使う気なら、もう少しお勉強していただいても？」

　からかうような口調でゼクスが口を挟むが、その目は本気で「対価を払え」と語っていた。
　それを理解した店主は困ったように笑いながら口を開く。

「そうさねぇ？　この店は殆どが激安の部類に入るモンなんだが……ーーその格好でこのバザールを練り歩いてくれるってんなら、そこの矢絣の着物はただでいいーーどうだい？」
「……では今回は挨拶代わりということで……ーーリアーヌよかったね？　足元気をつけて？」
「ーーはい！」

（なんかよく分かんないやりとりだったけど、着物が一枚タダになった！　ゼクスってばやっぱりすごい……！）

　そしてリアーヌはこの人生で初めての着物を着ることになったリアーヌ。

（ーー本当にそこまで暑くないぞ……？　夏用の着物って意外に涼しいんだ……）

　そんな感想と共に、ゼクスとバザールを練り歩くのだったーー

◇

「ーーレースとかもすっごい安い……しかもこれ桜ですよね、可愛いー！」

　リアーヌの言葉を聞きながらゼクスは一人思考を巡らせていた。

（ーー思ってる以上にこの国は季節感を大切にしている……？　どれもこれも質は悪くないのに値段が安すぎる……ーー客の着ているものを見る限り、あの店主の言うようにそこまでのこだわりはないようだが……ーー店のこだわりは客よりも大きそうだ……ーーこれは……使えるぞ……？）

「ーーレースの仕入れも視野に入れようなかぁ……」
「売れると思います！　安いですもん！」
「……問題は場所が開くかどうかなんだよねぇ」
「……あんなにでっかい船が何隻もあって、荷物を置く場所の心配をしているんです……？」
「ーー元々仕入れが決まってるもののほうが多いからね？　しかも確実に確保出来るだろう場所のほとんどには今回お酒が入っちゃうし？」
「ーー一本いっぽん三百円！」
「そういうこと」