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「……しょうがねぇんじゃねぇか?」
ボスハウト家リビング。
キラキラと輝くフルーツタルトを頬張りながら、家長であるサージュは答えていた。
「まぁ……そういうお年頃よねぇ?」
サージュの言葉にピクリと指先を反応させたヴァルムだったが、次に聞かされたリエンヌの答えに、はっきりと驚愕の表情を浮かべる。
「……しかし、これはお嬢様の名誉に関わる問題でございます。 今回はたまたま運良く他人に見られなかった、ただそれだけのこと……ーー釘刺しは必要かと……」
そう言って頭を下げるヴァルムに、子爵夫妻は揃って顔を見合わせ、困ったように眉を下げる。
「そうは言っても……なぁ?」
「そうよねぇ……? もうお嫁に行くことも決まってるんだし……」
「ーーこの世の中“絶対”ということはありません」
ラッフィナート家どころか、ゼクスに対しても苦言を呈することを回避しようとしている主人たちに、ヴァルムは頼み込むように深々と頭を下げながら言葉をかける。
「言いたいことは分かるんだが……もう十七だろ?」
「ーーまだ、十七歳でいらっしゃいます……そしてなにより学生です!」
ヴァルムの憤りがようやく通じたのか、サージュたちは顔を突き合わせながらヒソヒソと会話し始めた。
「……学生だとダメなのか?」
「ーーまだ子供ってことかしら?」
「まぁ……十七だし子供は子供なんだが……」
サージュたちは、決して非常識な発言をしているわけでは無かった。
平民階級の者たちであっても婚姻の早いこの世界、十七という年齢は決して結婚するのが早すぎる年齢では無かった。
そして学生のうちに嫁に行く者や婿を迎える者もそこまで珍しくは無かったのだ。
そしてサージュたちは、きちんと教えられていた。
貴族が交わす婚約というものは、家と家同士の信頼の証だということを。
そう簡単に反故に出来るものでは無く、それゆえ慎重に慎重を重ねて相手を決めなくてはいけないのだということを、きちんと教わっていたのだ。
ーーつまり、婚約中であるリアーヌはゼクスの元に嫁ぐことがほぼ決定事項あり、さらにどちらも今すぐ結婚してもおかしく無い年齢である以上、そう言った行為に目くじらを立てるのも……と、考えているようだ。
「ーー婚約はあくまでも婚約。 婚姻関係を結んでいない以上、そう言ったウワサ話はお嬢様のためにはなりません。 例えお相手が婚約者である男爵であっても悪く言われてしまうのは、お嬢様でございます。 ……ーー後々責任を取るのだからと、お嬢様の外聞すら守れない男などと結婚をして、果たしてお嬢様が幸せになれるとお思いですか⁉︎」
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