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「えっと……父さんが二日酔いになった時、母さんが父さんにオレンジをあげたんですよ「これなら食べられる?」って……父さんはそれを食べて、だいぶ楽になったみたいなんですけど、その時横着して外の分厚い皮以外、全部食べちゃって……呆れた母さんが「もしかしたらこの種が二日酔いに聞いたのかもね?」って冗談言ったんですよ。 そしたら「そうかもしれない……!」って父さん信じ込んじゃって……」
「ーーでも子爵様はそれがって思われたんだろう?」
「……うちの父さんが良いって思ってること全部が本物だったら、みんなが迷信だって思ってる殆どのこと、本物になっちゃいますよ?」
「……なっちゃうんだ?」
「はい。 そういうのすぐ信じちゃうんで。 ーーあ、それによって父さんや家族に害が出るなら「なんかダメだ」って判断になりますけど……」
「害になる時?」
「はい。 例えば……オレンジのタネ食べたらお腹が痛くなっちゃうとか、二日酔いが悪化する、とかの時ですね」
「ーーつまり意外に効果がある……?」
「さぁ? 害にならない、には現状維持も入ってるっぽいんで」
「現状維持……ーー悪くはならないけど良くもなってない……?」
「……体調不良の時って「あれ? 良くなったかも⁉︎」って思い込み、重要じゃないですか?」
「思い込みなんだ……」

 ゼクスとの会話に肩をすくめるだけで区切りをつけたリアーヌは、そもそもフィリップと話していたことをようやく思い出し、慌ててフィリップに言葉をかけた。

「ーーそういう性格なんで、父さんが『成長によってギフトの力が増える』って話を信じてたとしても、それが真実だってことにはならないと思います。 ……それともフィリップ様、うちの父が『茶色い牛のミルクはちょっと甘い』って言ったら信じます?」
「ーー残念ながらミルクの味は鮮度によると信じていてね……しかし、力のほうは……幼い頃よりそう教育されて育ったからね……」
「……? そもそもそれって有力な説の一つ、だったはずですよね?」
「そ、れは……その通りですね?」

 フィリップは座学は成績優秀なリアーヌの片鱗を感じ取り、少し戸惑いながら(そういえば才女だったな……)と再確認していた。

「未だに、ギフトがどうして発動するのか、どうして持っている人と持っていない人が居るのかも解明されてないのに、力の増やし方だけは解明されてるっての、ちょっと違和感でしょう?」
「ーー確かに解明はされていないが……」
「……でも子供より大人のほうが力が強いのは事実ーーつまり解明されているんじゃなくて?」

 フィリップの隣にいたレジアンナが気づかうように口を開く。
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