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 そんなビアンカの申し出に、リアーヌはキュッと唇をすぼめながら「わぁ嬉しい。 ありがとう」と棒読みでモゴモゴと答えるのだった。

「ーー学院の近くの店に行く、とか大通りからは出ないーーとかの条件があるとより安全かもしれないね?」

 そんなゼクスから提案は、間違いなくリアーヌの安全や、ボスハウト家の立場を思っての発言だったのだがーー

「……ぇ、ピペーズ通り……」

と、リアーヌは悲しそうな顔をゼクスに向けていた。

「……むしろ俺はリアーヌのためを思って提案したけどね?」
「それは……ーーじゃあ、大通りからは出ません……」

 リアーヌもゼクスの案が、安全面から考えれば最善だということは理解出来たのか、苦渋に満ち溢れた顔つきと声で渋々答えた。

「ーー大通りならウルバンはいかがかしら?」

 リアーヌたちの会話に少し呆れたような笑顔を浮かべながら、ビアンカが比較的学校から近い店を提案する。

「ウルバンって……」
「確か紅茶の専門店だったところ……かな? 最近増築して作った喫茶スペースで売られているチョコレートが美味しいって話ですよね?」
「ええ。 この間いただく機会がありまして。 紅茶の風味を強く感じるチョコレートでーーあちらを専門店が勧める紅茶と共にいただいたら、さぞかし美味しいのだろうと……」
「え、私も食べたい。 そこね? そこで決まりね⁇」
「……貴女、ずいぶん乗り気なようだけれど……?」

 急に前のめりで話し始めたリアーヌに、呆れたような笑顔を浮かべながら肩をすくめるビアンカ。
 リアーヌが少しでも乗り気になれば……と思い提案したことだったが、ここまで乗り気になられてしまうと、思うところがあるようだった。

「……ウルバンでしたら、近くに素敵な雑貨屋がありまして……!」
「あら、クラリーチェのおすすめのお店? それは楽しみだわ。 皆さんで行きましょうね?」
「はいっ!」
「……雑貨店でしたら記念になるようななにかを、皆さまでお揃いにするのも楽しそうですわね?」

 ビアンカが提案するとレジアンナたちは目を輝かせて手を合わせる。

「まぁ素敵! きっと一生の思い出になりますわっ」
「お友達とお揃い……ーー絶対に実現させます……!」
「お揃いね、うん。 思い出にはなるよねー」

 二人に合わせるように相槌を打つリアーヌに、ビアンカが眉をひそめながら口を開く。

「……ーー貴女、食べ物以外にも興味を持ちなさい……?」
「も、持ってるし! 美容とか興味津々だし!」

 そんなやりとりにクスクスと笑っていたレジアンナだったが、美容といえば……と、リアーヌに疑問をぶつける。
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