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ユリアは好きになれないけどー、と心の中で続けながら、リアーヌは未だに痛みを訴えるつま先を労った。
「ーーリアーヌ、飽きちゃったなら俺たちだけでも会場に戻ろうか?」
「……えっ?」
その提案にギョッと目を向くリアーヌ。
ゼクスの考えとしては、ここで簡単な情報を貰い、リアーヌや自分の身に危険は少ないと判断し、その上でここにいるよりも、会場内で情報収集をするほうが自分たちにとっては有益だと考え始めたようだった。
(……え、ゼクスさんってばなにおっしゃってるの……? ユリアとユリアが勝手に連れてきたクラスメイトがいるであろう会場内に戻るって言ってます……? ーーさては私にデザートを食べさせないという嫌がらせをしかけている気か……?)
「ーーリアーヌ嬢はまだここに滞在したい様子だが?」
リアーヌが読み解けなかったゼクスの心を、的確に読み取ったフィリップは、ゼクスに対する嫌がらせーーただそれだけのために、リアーヌを引き留めにかかった。
「……それを今確認していたんですけど……ーーもしかして聞こえませんでした?」
「ははは……男爵の冗談はいつもユニークだ……」
目だけが笑っていない二人がすぐさま嫌味の応酬を始めてしまい、リアーヌは「なんか急に会場戻りたくなってきた……」と呟きながらそっと首をすくめた。
ーーそんなフィリップとゼクスが火花を散らし合いながら微笑みあっている時だった。
「ーーお話中、申し訳ございません」
一人の給仕人が軽く頭を下げながらフィリップに話しかけていた。
「……なにかな?」
その給仕人のあまりにも無礼な立ち入り方にピクリと指先を動かしたフィリップだったが、こういった場合のほとんどが急用の言伝をなどを持ってきた場合であったので、その苛立ちを隠しながら笑顔を向けた。
「ボスハウト家が執事、ヴァルム様がリアーヌ様にご伝言とのことでございます」
「……え、ヴァルムさん⁉︎」
(なんでここに……? え、家にいるはずじゃ……? ――え、本当、なんでいるの……?)
リアーヌは家から送り出してくれたヴァルムの姿を思い返しながら、仕切りに首を傾げていた。
本来なら一子爵家の執事が王城に紛れ込むことなどは不可能な話だったのだが、王家に連なる家であるボスハウト家、そして王族に忠誠を誓う一族であると知れ渡っているヴァルムだったからこそ、ヴァルムは今日のパーティーに紛れ込むことを黙認されていた。
これはパラディール家にだけ控え室が準備されていた理由と同じような配慮であり、国王がリアーヌの安全に気を使った結果だった。
「ーーリアーヌ、飽きちゃったなら俺たちだけでも会場に戻ろうか?」
「……えっ?」
その提案にギョッと目を向くリアーヌ。
ゼクスの考えとしては、ここで簡単な情報を貰い、リアーヌや自分の身に危険は少ないと判断し、その上でここにいるよりも、会場内で情報収集をするほうが自分たちにとっては有益だと考え始めたようだった。
(……え、ゼクスさんってばなにおっしゃってるの……? ユリアとユリアが勝手に連れてきたクラスメイトがいるであろう会場内に戻るって言ってます……? ーーさては私にデザートを食べさせないという嫌がらせをしかけている気か……?)
「ーーリアーヌ嬢はまだここに滞在したい様子だが?」
リアーヌが読み解けなかったゼクスの心を、的確に読み取ったフィリップは、ゼクスに対する嫌がらせーーただそれだけのために、リアーヌを引き留めにかかった。
「……それを今確認していたんですけど……ーーもしかして聞こえませんでした?」
「ははは……男爵の冗談はいつもユニークだ……」
目だけが笑っていない二人がすぐさま嫌味の応酬を始めてしまい、リアーヌは「なんか急に会場戻りたくなってきた……」と呟きながらそっと首をすくめた。
ーーそんなフィリップとゼクスが火花を散らし合いながら微笑みあっている時だった。
「ーーお話中、申し訳ございません」
一人の給仕人が軽く頭を下げながらフィリップに話しかけていた。
「……なにかな?」
その給仕人のあまりにも無礼な立ち入り方にピクリと指先を動かしたフィリップだったが、こういった場合のほとんどが急用の言伝をなどを持ってきた場合であったので、その苛立ちを隠しながら笑顔を向けた。
「ボスハウト家が執事、ヴァルム様がリアーヌ様にご伝言とのことでございます」
「……え、ヴァルムさん⁉︎」
(なんでここに……? え、家にいるはずじゃ……? ――え、本当、なんでいるの……?)
リアーヌは家から送り出してくれたヴァルムの姿を思い返しながら、仕切りに首を傾げていた。
本来なら一子爵家の執事が王城に紛れ込むことなどは不可能な話だったのだが、王家に連なる家であるボスハウト家、そして王族に忠誠を誓う一族であると知れ渡っているヴァルムだったからこそ、ヴァルムは今日のパーティーに紛れ込むことを黙認されていた。
これはパラディール家にだけ控え室が準備されていた理由と同じような配慮であり、国王がリアーヌの安全に気を使った結果だった。
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