696 / 1,038
696
しおりを挟む「……そんな感じはしました」
困ったように笑いながらリアーヌも同意する。
心の中で(きっと私の言葉だけは聞き入れてもらえないことでしょう……)とボヤキながら。
「……なにか言われた?」
リアーヌの答えに感じるものがあったのか、ゼクスは眉をひそめながらたずねた。
「……特には?」
リアーヌとしては気を使って答えたつもりだったのだが、その答えにゼクスは面白くなさそうに眉を寄せた。
「ーー俺頼りない?」
「ぇ……?」
「リアーヌがなにかのトラブルに巻き込まれたなら一番に相談して欲しい……言いたくないなら無理には聞かないけど……でも一番に頼って欲しいんだ」
その言葉にリアーヌは迷うようにキョドキョドと視線を揺らしたのち、そっと口を開いた。
「……別に私は気にしてないですよ?」
「……“なにか”は言われたんだ?」
「私が……権力を使って無理やり婚約したーー的なことは……?」
リアーヌの言葉にゼクスは盛大にため息を漏らしながら「やっぱり……」と小さく呟いていた。
その言葉を拾ったリアーヌは首を傾げ視線で詳しい説明を促す。
「俺にも言ってきたんだ……」
げんなりと言いながら小さく肩をすくめたゼクスに、リアーヌは急に自分の対処法がお粗末だったからゼクスに迷惑をかけてしまったのかもしれない……と少しの不安を感じ、気まずそうに口を開いた。
「その……捨て台詞のように言われて、ちゃんと否定できなくて……」
「否定の言葉なんて必要ない!」
ゼクスはリアーヌの言葉を遮るように言った。
この件に関して、少しでもリアーヌが気に止む必要など無いと考えていたからだ。
「でも……」と不安げなリアーヌに言い聞かせるようにゼクスは言葉を重ねる。
「この婚約は俺からーーラッフィナート家から、是非にと望んだ婚約だ。 それは王家の記録にも残ってる。 たとえリアーヌが否定しなかったところで君にはなんの非もないし、うちだってなんの不利益も被らない……ーーもちろん、こんな簡単な情報さえ拾えないマヌケな家のことなんて君が気にしてやる必要なんかない、だろ?」
「……多分?」
ゼクスの言葉に混じり込んだ毒に頬をひきつらせながらもリアーヌ同意するように頷いた。
しかし、とある疑問を感じ、かすかに首を傾げた。
(……こんな簡単な情報? ーーでもあの子は【情報収集】のギフト持ちなのに……?)
そう思っていたリアーヌの耳に特大のため息を吐き出す音が聞こえた。
その声の主はゼクスで、ソファーに沈み込むように頭や背中を預けていた。
そんなゼクス様子に、リアーヌは(そこまで気にしなくても……)と苦笑しながら声をかける。
困ったように笑いながらリアーヌも同意する。
心の中で(きっと私の言葉だけは聞き入れてもらえないことでしょう……)とボヤキながら。
「……なにか言われた?」
リアーヌの答えに感じるものがあったのか、ゼクスは眉をひそめながらたずねた。
「……特には?」
リアーヌとしては気を使って答えたつもりだったのだが、その答えにゼクスは面白くなさそうに眉を寄せた。
「ーー俺頼りない?」
「ぇ……?」
「リアーヌがなにかのトラブルに巻き込まれたなら一番に相談して欲しい……言いたくないなら無理には聞かないけど……でも一番に頼って欲しいんだ」
その言葉にリアーヌは迷うようにキョドキョドと視線を揺らしたのち、そっと口を開いた。
「……別に私は気にしてないですよ?」
「……“なにか”は言われたんだ?」
「私が……権力を使って無理やり婚約したーー的なことは……?」
リアーヌの言葉にゼクスは盛大にため息を漏らしながら「やっぱり……」と小さく呟いていた。
その言葉を拾ったリアーヌは首を傾げ視線で詳しい説明を促す。
「俺にも言ってきたんだ……」
げんなりと言いながら小さく肩をすくめたゼクスに、リアーヌは急に自分の対処法がお粗末だったからゼクスに迷惑をかけてしまったのかもしれない……と少しの不安を感じ、気まずそうに口を開いた。
「その……捨て台詞のように言われて、ちゃんと否定できなくて……」
「否定の言葉なんて必要ない!」
ゼクスはリアーヌの言葉を遮るように言った。
この件に関して、少しでもリアーヌが気に止む必要など無いと考えていたからだ。
「でも……」と不安げなリアーヌに言い聞かせるようにゼクスは言葉を重ねる。
「この婚約は俺からーーラッフィナート家から、是非にと望んだ婚約だ。 それは王家の記録にも残ってる。 たとえリアーヌが否定しなかったところで君にはなんの非もないし、うちだってなんの不利益も被らない……ーーもちろん、こんな簡単な情報さえ拾えないマヌケな家のことなんて君が気にしてやる必要なんかない、だろ?」
「……多分?」
ゼクスの言葉に混じり込んだ毒に頬をひきつらせながらもリアーヌ同意するように頷いた。
しかし、とある疑問を感じ、かすかに首を傾げた。
(……こんな簡単な情報? ーーでもあの子は【情報収集】のギフト持ちなのに……?)
そう思っていたリアーヌの耳に特大のため息を吐き出す音が聞こえた。
その声の主はゼクスで、ソファーに沈み込むように頭や背中を預けていた。
そんなゼクス様子に、リアーヌは(そこまで気にしなくても……)と苦笑しながら声をかける。
6
お気に入りに追加
372
あなたにおすすめの小説

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる