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 レオンの言葉にフィリップも自分の言葉を思い返し、それが口説き文句とも取れるような発言だったことに気がついて思わず吹き出していた。

「ふはっ……ーーなんだ、分からなかったのか? つれないな」

 そしてわざと艶めいた視線を作るとレオンに向けて見せた。
 そんなフィリップの態度にレオンからだけではなく他の友人たちからもクスクスと言う笑い声が漏れる。

「ーーならばら存分に助けて貰おうかな?」
「仰せのままに……」

 クスクスと笑い合いながらどこか芝居めいた二人のやりとりに、友人たちもフィリップたちも、今度こそ声をあげて笑い合うのだった。

 ――そんな楽しげな笑い声をあげているレオンたちであったが、これから彼らが歩もうとする道は、とても笑えるようなものでは無かった。
 国王は息子を、レオンを守ろうと動くとはいえ、敵対する相手は一国の王妃、そして第一王子だった。
 上手く相手を引きずり落とせれば未来は明るいが、逆に引きずり下ろされてしまえば、第二王子、公爵家嫡男といえども、待っているのは破滅だろう。
 そして仮に自分たちが身をひそめ続けたとしても、相手側があの地位にい続けるのであれば、こちらを攻撃してくることはわかりきっていた……
 もはや自分たち身を、家を守るためには、敵を失脚させるしか道は無くーー
 彼らは望むべき未来のために、そんな茨の道に足を踏み入れたのだったーー



「……ええと?」

 もう何日もしないうちに夏休暇に入るという頃――
 急遽決まったアウセレ国行きの準備や、そしてそれによる予定の見直しや調整をゼクスやラッフィナート家も交えつつ、ようやくリアーヌの最終的な予定が決定した。
 そのためリアーヌはもうすぐやってくる夏休暇に心を弾ませながら、授業終わりに騎士科に続く廊下を鼻歌混じりに歩いている時、ユリアの友人であるベッティ・レーレンに呼び止められ、挨拶もそこそこに情報収集を開始され、困惑の声をあげていた。

「ですから! 夏休み中のお暇な日を教えていただきたいんです! 午後だけとか、午前中なら空いてるとかでも大丈夫です!」
「その……私の予定は詰まっておりまして……」

 リアーヌは戸惑いながらも表情を取り繕って答えを口にする。
 リアーヌの答えは真実であったが、夏休暇の全ての日になにかしらの予定があるという訳でもなかった。

 たとえ貴族であろうとも、絶対に断れない方からのというものは存在する。
 それだけではなく、交渉や調整を重ねた結果、参加したい会やパーティー、繋がりを持ちたい相手との予定が合ってしまった時にすぐに調整をしなくてはならない場合もある。
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