成り上がり令嬢暴走日記！

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「ーーそう、なんでしょうね？」

　あまりの情報に頬をひきつらせるビアンカを横目にフィリップは険しい顔で何事かを思案しながら口を開く。

「……秘密裏に王家辺りとなにかしらの話し合いでも持ちましたかね？」
「ーー可能性が高いのは王妃ですかね」

　ゼクスからの情報にフィリップやレオンの瞳がギラリと光った。

「そう思う根拠をお聞きしたいね？」
「最近、王家御用達の店がーー王妃が贔屓にしている店が一気に増えたのですが……――そのほとんどがフォルステル領の店なんですよ。　例外もありましたがそれも伯爵夫人の実家の寮からですからね……――なにかしらの繋がりが出来たと思うのが自然では？」

　ゼクスの答えにフィリップたちは視線を揺らしながら顔を見合わせ合う。

「……御用達店」
「盲点だったな……」

「ーー王妃との繋がりがあるのであれば、そんな対応をとるのも納得ではありますが……」

　ビアンカの言葉にゼクスは頷きながら口を開く。

「かの方が王家との縁に恵まれるのであれば、王家としてもフォルステル家としてもリアーヌは邪魔な存在にしかならないからね……――さらに言うなら守護のギフト持ちが第一王子に嫁ぐというのであればーー王太子任命は間違い無いかと……――決着付けにきたんじゃ無いんですか？」

　ゼクスの言葉に、各々が難しい顔をしながら自分や婚約者のこれからに考えを巡らせた。

「……あの方が王家の中枢に食い込む……？」

　レジアンナが顔を歪めながら忌々しそうに呟けば、その肩を抱くように腕を撫でつけ？フィリップが苦笑混じりに口を開く。

「中枢に食い込んだところで、その発言力は皆無さーーそれに……伯爵家など吹けば飛ぶような地位の家――後ろ盾にすらならないよ」

　フィリップの言葉は各方面に敵を作るかのような発言だったが、ここに集まる多くの者たちにとって、たんなる伯爵家の一つ程度の家柄は、正しく吹けば飛ばせる程度の家に過ぎなかった――

「……そう考えるとーーあの方のせいで王家の名にも傷が付きそうですわね……？」
「――その場合は……“王家”ではなく“王妃”となってくれれば好都合なんだけどね？」

　レジアンナの言葉に肩をすくめて答えるフィリップ。
　ゼクスやボスハウト家がハッキリとフォルステル家やユリアとの敵対を表明したことで、自分たちの敵意も隠すことをやめたようだった。

「……先のことは先のこととして……ーー彼女がパーティー来るならリアーヌは最後まで俺の隣にいてね？」
「……え？」

　ゼクスの言葉に驚愕に満ちた顔を向けるリアーヌ。

（ーーあの素敵空間に逃げ込めない……だと……？）