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「ーーリアーヌ、放課後時間を取れまして……? そのゼクス様も。 ……お茶会を主催したいんですの……」

 レジアンナが眉を下げながらそう提案してきたのは、ユリアが立ち去り、急足で教室にやってきたレオンたちが、フィリップを中心に何名かのクラスメイトと急ぎ会話を交わし、やはり急足で自分たちの教室に帰っていくその後ろ姿を眺めた直後だった。

(あー……あの時間だけじゃご挨拶終わらなかったのかな……?)

 リアーヌはほんの少しだけレオンに同情し、クラリーチェも気の毒だったもんな……と、レジアンナの提案を受け入れた。



「皆様どうぞお入りになって? 今回は緑茶というものが手に入ったので、ぜひ楽しんで頂けると嬉しいわ」

 出迎えてくれたレジアンナの挨拶に、リアーヌもマナー通りの挨拶を口にしながらゼクスと共にサロンの中へ入っていく。
 場所はいつも通りパラディール家のサロンだったが、今回はお茶に合わせたのか、至る所に和をーーアウセレ国の文化を感じる装いになっていた。

(……いつもはフィリップがあの挨拶してるけど……ーーこれ多分、レジアンナの練習が本格的パラディール側で始まったってこと、かな?)

 マナーや作法には厳格な決まりが存在していたが、各々の家の個性や色が全く出さないのも嘲笑の的になってしまうのが社交界だったーー
 それはつまり嫁いだ家の個性や特色を学ぶ期間も必要ということで……レジアンナは現在その期間に入っているのだろうとリアーヌは推測したのだった。

(……でもそうなるとーーどう頑張ったってこの二人はもう結構まで待った無しだな。 ここまで中のことを知らせておいて「ごめん、こっちと結婚するね! だって運命だから!」とか出来ないでしょ……ミストラル家どころかパラディール家だって許さそう……――まぁ、ゲームの中では攻略対象の婚約者もれなく全員になんかしらの問題があって、最終的に犯罪を犯しちゃうからこその婚約破棄だもんなぁ……ーーその場で次の婚約者発表しちゃうあたり、予定調和でしかない気もするけど……――婚約者側の問題が解消されてたり問題視されてないなら婚約破棄なんて許されないし、それでも主人公と結ばれたいなら、良くて第二夫人、通常は愛人……あーでも守護持ちだからなぁ……第二夫人が濃厚かな? ーー王家や周りの貴族が許すのであれば、だけどー)

 リアーヌはゼクスにエスコートされるがままに席に座り、いつもとは違うサロンの中を見回しながら口から漏れ出そうになるため息を押し殺した。
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