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 ザームたちはそれを二人で仲良く食べ始め――やはりその大半がザームの腹に収納されたようだったが、それでも仲睦まじく食べさせ合う様子に、リアーヌどころかビアンカやアロイスまで、笑顔を浮かべていた――

 そんな和やかな空気のままお茶会が終了するかと思われたが、会の終了を感じ取ったアロイスが、そっと声をひそめリアーヌに話しかけたことで、和やかなひと時は終わりを迎えた。

「かのお方が貴女を探っておりますよ。 ーーお気をつけを」
「それは……ギフト関連で、ということでしょうか……?」

 その言葉に身に覚えがありすぎたリアーヌは顔をこわばらせながら、詳しい説明を求める。

「それが……ーーボスハウト家に入られる前の話や、花園のこと、リアーヌ様たちが発端となった流行のこのなどを中心に質問されまして……」
「ーー質問されまして……?」
「はい……なぜか、かの方は、私とリアーヌ様との間に面識があるかのように質問をしてきまして……もちろん否定はしたのですが……信じてはいない様子でした……」
「ーーザームの友人だから、でしょうか……?」
「――可能性はあるやも……私にも婚約者がおりますし、これが火種となり妙なウワサをたてられるわけにもいきませんでしたので、何度も「リアーヌ様との面識はございません」と伝えたつもりなのですが……」
「あら……では今回のこと、大丈夫だったんでしょうか……?」

 アロイスの言葉に不安そうに眉を下げたのはビアンカだった。

「それはお気になさらず。 この茶会のことはライネッケ家にも話を通してありますし、アマーリエ嬢にも了承をもらっています――それに今回は、他の方には内密に……という私のわがまままで叶えていただいたんです。 ビアンカ嬢が気に病む話ではありませんよ」
「そう、ですか? ご迷惑でなければいいのですけれど……」
「迷惑だなんて……ーービアンカ嬢そんな感情を向けたことなどございませんよ」

(……じゃあ誰にだったら、その感情を向けたことがあるんですかね……?)

 そう考えたリアーヌは気まずそうに視線を動かし、同じ考えに至ったであろうソフィーナと目が合うと曖昧な微笑みを交わし合い、その疑問をごまかした。

「……あいもかわらず、台風のようなお方ですこと……」

 ビアンカの発言にアロイスはクスリと笑いながら言葉を続けた。

「近づかれた者の被害は甚大……ですが、ご本人は中心にいらっしゃるからなんの被害も被らない……――なんとも的を射ておりますね?」

(ネジだったり台風だったり……忙しいな主人公は……そろそろ目を回して、大人しくしててくれたっていいのに……)
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