649 / 1,038
649
しおりを挟む
リアーヌは本当に全てのウワサを抑え込んでしまったパラディール家の手腕やその影響力に、心底恐れ慄いていた。
(さすがは公爵家……ーーきっと私程度のご令嬢の一人ぐらい簡単に行方不明にしてしまえるんだ……! レジアンナ経由で仲良くしてくれてる人たちにまで「具合が悪い時は呼び出しに応じ無くても平気なんですよ……?」とか言われちゃって……ーーもうそれは「そういうことにしてあるから話合わせろよ」っていう圧力でしか無いのよっ! ……流石にレジアンナやビアンカは事情を知ってるみたいだけど……二人がそれを口にすることはないだろうし……――やっぱりあの一件は『ビアンカから呼び出されてついていったリアーヌが途中で具合を悪くしてしまい、フィリップたちに保護された。 でも慌てていて侍女やメイドを付けることを失念していまった。 それはほんの一瞬の出来事だったが、それでもリアーヌの将来を考え大慌てで事態の収束を計った』ってことになっている。 ……私ガッツリ密室で男性たちと過ごしたことになっちゃってるけど、その程度ならば許容範囲内らしい……――ってか、それでも私を貶めたい人たちは、もれなくフィリップやパラディール家をも貶めちゃうことになるから気をつけようね? っていう抑止力なんだってさ)
トボトボとビアンカたちと共に廊下を歩きながら、リアーヌは心の中で盛大にため息をつきグチを吐き出す。
(あの日帰ってから、ゼクス様も交えての報告会をやって、全部ペロッと報告したはいいけど……部屋の中の空気物凄かったんだから……しかも、父さんたちよりヴァルムさんやオリバーさんたちの方が明らかに怒り狂ってて……でも父さんの不機嫌さだって相当なもので……――私、母さんが宥めてるのに顔を取り繕わない父さんとか初めて見た……)
そこまで考え、リアーヌは少し前を歩くゼクスの後ろ姿を眺め、軽くため息をつく。
(その後は父さんたちやヴァルムさんたち、ゼクスまで一緒になって話し合ってたのに、私には何にも教えてくれないでさぁ……――ヴァルムさんが任せて下さいって言ってたから任せておけばいいんだろうけど……ーーせめてあのエーゴンだけは懲らしめてほしい……――レオンの……未来の王太子の側近だから、うちじゃ手が出せないかなぁ……?)
そんなことを考えながらリアーヌはパラディール家のサロンまで歩くのだったーー
――パラディール家サロン内。
挨拶もそこそこに席へと案内されたリアーヌたちは、すでに部屋の中で待っていたレジアンナにすぐさま声をかけられていた。
「リアーヌ、怖かったわよね……大丈夫?」
「……平気、です」
(さすがは公爵家……ーーきっと私程度のご令嬢の一人ぐらい簡単に行方不明にしてしまえるんだ……! レジアンナ経由で仲良くしてくれてる人たちにまで「具合が悪い時は呼び出しに応じ無くても平気なんですよ……?」とか言われちゃって……ーーもうそれは「そういうことにしてあるから話合わせろよ」っていう圧力でしか無いのよっ! ……流石にレジアンナやビアンカは事情を知ってるみたいだけど……二人がそれを口にすることはないだろうし……――やっぱりあの一件は『ビアンカから呼び出されてついていったリアーヌが途中で具合を悪くしてしまい、フィリップたちに保護された。 でも慌てていて侍女やメイドを付けることを失念していまった。 それはほんの一瞬の出来事だったが、それでもリアーヌの将来を考え大慌てで事態の収束を計った』ってことになっている。 ……私ガッツリ密室で男性たちと過ごしたことになっちゃってるけど、その程度ならば許容範囲内らしい……――ってか、それでも私を貶めたい人たちは、もれなくフィリップやパラディール家をも貶めちゃうことになるから気をつけようね? っていう抑止力なんだってさ)
トボトボとビアンカたちと共に廊下を歩きながら、リアーヌは心の中で盛大にため息をつきグチを吐き出す。
(あの日帰ってから、ゼクス様も交えての報告会をやって、全部ペロッと報告したはいいけど……部屋の中の空気物凄かったんだから……しかも、父さんたちよりヴァルムさんやオリバーさんたちの方が明らかに怒り狂ってて……でも父さんの不機嫌さだって相当なもので……――私、母さんが宥めてるのに顔を取り繕わない父さんとか初めて見た……)
そこまで考え、リアーヌは少し前を歩くゼクスの後ろ姿を眺め、軽くため息をつく。
(その後は父さんたちやヴァルムさんたち、ゼクスまで一緒になって話し合ってたのに、私には何にも教えてくれないでさぁ……――ヴァルムさんが任せて下さいって言ってたから任せておけばいいんだろうけど……ーーせめてあのエーゴンだけは懲らしめてほしい……――レオンの……未来の王太子の側近だから、うちじゃ手が出せないかなぁ……?)
そんなことを考えながらリアーヌはパラディール家のサロンまで歩くのだったーー
――パラディール家サロン内。
挨拶もそこそこに席へと案内されたリアーヌたちは、すでに部屋の中で待っていたレジアンナにすぐさま声をかけられていた。
「リアーヌ、怖かったわよね……大丈夫?」
「……平気、です」
0
お気に入りに追加
344
あなたにおすすめの小説
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
もしもし、王子様が困ってますけど?〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
前世コミュ障で話し下手な私はゲームの世界に転生できた。しかし、ヒロインにしてほしいと神様に祈ったのに、なんとモブにすらなれなかった。こうなったら仕方がない。せめてゲームの世界が見れるように一生懸命勉強して私は最難関の王立学園に入学した。ヒロインの聖女と王太子、多くのイケメンが出てくるけれど、所詮モブにもなれない私はお呼びではない。コミュ障は相変わらずだし、でも、折角神様がくれたチャンスだ。今世は絶対に恋に生きるのだ。でも色々やろうとするんだけれど、全てから回り、全然うまくいかない。挙句の果てに私が悪役令嬢だと判ってしまった。
でも、聖女は虐めていないわよ。えええ?、反逆者に私の命が狙われるている?ちょっと、それは断罪されてた後じゃないの? そこに剣構えた人が待ち構えているんだけど・・・・まだ死にたくないわよ・・・・。
果たして主人公は生き残れるのか? 恋はかなえられるのか?
ハッピーエンド目指して頑張ります。
小説家になろう、カクヨムでも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる