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 リアーヌは本当に全てのウワサを抑え込んでしまったパラディール家の手腕やその影響力に、心底恐れ慄いていた。

(さすがは公爵家……ーーきっと私程度のご令嬢の一人ぐらい簡単に行方不明にしてしまえるんだ……! レジアンナ経由で仲良くしてくれてる人たちにまで「具合が悪い時は呼び出しに応じ無くても平気なんですよ……?」とか言われちゃって……ーーもうそれは「そういうことにしてあるから話合わせろよ」っていう圧力でしか無いのよっ! ……流石にレジアンナやビアンカは事情を知ってるみたいだけど……二人がそれを口にすることはないだろうし……――やっぱりあの一件は『ビアンカから呼び出されてついていったリアーヌが途中で具合を悪くしてしまい、フィリップたちに保護された。 でも慌てていて侍女やメイドを付けることを失念していまった。 それはほんの一瞬の出来事だったが、それでもリアーヌの将来を考え大慌てで事態の収束を計った』ってことになっている。 ……私ガッツリ密室で男性たちと過ごしたことになっちゃってるけど、その程度ならば許容範囲内らしい……――ってか、それでも私を貶めたい人たちは、もれなくフィリップやパラディール家をも貶めちゃうことになるから気をつけようね? っていう抑止力なんだってさ)

 トボトボとビアンカたちと共に廊下を歩きながら、リアーヌは心の中で盛大にため息をつきグチを吐き出す。

(あの日帰ってから、ゼクス様も交えての報告会をやって、全部ペロッと報告したはいいけど……部屋の中の空気物凄かったんだから……しかも、父さんたちよりヴァルムさんやオリバーさんたちの方が明らかに怒り狂ってて……でも父さんの不機嫌さだって相当なもので……――私、母さんが宥めてるのに顔を取り繕わない父さんとか初めて見た……)

 そこまで考え、リアーヌは少し前を歩くゼクスの後ろ姿を眺め、軽くため息をつく。

(その後は父さんたちやヴァルムさんたち、ゼクスまで一緒になって話し合ってたのに、私には何にも教えてくれないでさぁ……――ヴァルムさんが任せて下さいって言ってたから任せておけばいいんだろうけど……ーーせめてあのエーゴンだけは懲らしめてほしい……――レオンの……未来の王太子の側近だから、うちじゃ手が出せないかなぁ……?)

 そんなことを考えながらリアーヌはパラディール家のサロンまで歩くのだったーー



 ――パラディール家サロン内。
 挨拶もそこそこに席へと案内されたリアーヌたちは、すでに部屋の中で待っていたレジアンナにすぐさま声をかけられていた。

「リアーヌ、怖かったわよね……大丈夫?」
「……平気、です」
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