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「……リアーヌ嬢のよろしいように説明してくださって構いませんよ」
無言で戸惑うリアーヌをどう思ったのか、フィリップは静かに声をかける。
――フィリップとて、今回の一件を隠しておけるものならその全てを隠しておきたかった。
しかし、リアーヌ自身を閉じ込めてしまっている以上、その情報の秘匿は絶望的だと考えていた。
ならば少しでもリアーヌの心情を理解して、これからの対策に役立てようとリアーヌの口から好きに証言させようとしたのだったが――
「……フィリップ様がメイドさんといちゃついてるところを目撃してしまして……」
「まっ! 不潔!」
「なんでふしだら! レジアンナ様がお可哀想!」
リアーヌの口にした言葉に自分が最大の悪手を打ったことを思い知っていた。
「うん。 ウソはやめようか」
(……丸投げしたのはそっちのくせに!)
「ーーその後レオン様やパトリック様たちも入り混じっての酒池肉林!」
「なんてこと⁉︎」
「ビアンカ様を裏切るなんてっ⁉︎」
「し、していません⁉︎」
妙に息のあったリアーヌたちの掛け合いに、パトリックが思わず抗議の声を上げた。
「……オレには言えない?」
どことなく楽しげな空気を醸し始めたリアーヌたちに、困ったように声をかけたのはゼクスだった。
「ぁ……そ、そういうわけじゃないです! えっと……最初は……――ビアンカがパトリック様に呼ばれて教室を出て行って、そのすぐ後にパラディール家の人に「ビアンカが来て欲しい」って言ってるって言われて……」
「ーーその人についていった?」
「はい……ーーでも連れて行かれた部屋にのどこにもビアンカはいなくって……――部屋に鍵かけられて開けられなくて……」
そこまで話した瞬間、カチヤたちの喉からヒュッと息を呑む音がして、ゼクスはギリリッと拳を握りしめた。
カチヤたちのその反応で、改めて自分がまずい状況に置かれていたことを再確認するリアーヌ。
「それで……――」
そこまで話してリアーヌは急に嫌な予感に襲われた。
(……あれ? これ私が「ユリアにレオンが王子だってバラしたって疑われたんです!」って言っても大丈夫なやつ……? 一応、この人たちは隠してる情報な気がするんだけど……え、でも好きに説明して良いって言ってて……――それすらも罠だったらどうしよう⁉︎ 「それを知ったからには……」とか言ってうちが取り潰されちゃうかも⁉︎)
「リアーヌ……平気かい? 無理はしないで?」
急に顔色を悪くしたリアーヌに、ゼクスはそっと寄り添うと、その身体を労わるように背中を優しく撫でた。
無言で戸惑うリアーヌをどう思ったのか、フィリップは静かに声をかける。
――フィリップとて、今回の一件を隠しておけるものならその全てを隠しておきたかった。
しかし、リアーヌ自身を閉じ込めてしまっている以上、その情報の秘匿は絶望的だと考えていた。
ならば少しでもリアーヌの心情を理解して、これからの対策に役立てようとリアーヌの口から好きに証言させようとしたのだったが――
「……フィリップ様がメイドさんといちゃついてるところを目撃してしまして……」
「まっ! 不潔!」
「なんでふしだら! レジアンナ様がお可哀想!」
リアーヌの口にした言葉に自分が最大の悪手を打ったことを思い知っていた。
「うん。 ウソはやめようか」
(……丸投げしたのはそっちのくせに!)
「ーーその後レオン様やパトリック様たちも入り混じっての酒池肉林!」
「なんてこと⁉︎」
「ビアンカ様を裏切るなんてっ⁉︎」
「し、していません⁉︎」
妙に息のあったリアーヌたちの掛け合いに、パトリックが思わず抗議の声を上げた。
「……オレには言えない?」
どことなく楽しげな空気を醸し始めたリアーヌたちに、困ったように声をかけたのはゼクスだった。
「ぁ……そ、そういうわけじゃないです! えっと……最初は……――ビアンカがパトリック様に呼ばれて教室を出て行って、そのすぐ後にパラディール家の人に「ビアンカが来て欲しい」って言ってるって言われて……」
「ーーその人についていった?」
「はい……ーーでも連れて行かれた部屋にのどこにもビアンカはいなくって……――部屋に鍵かけられて開けられなくて……」
そこまで話した瞬間、カチヤたちの喉からヒュッと息を呑む音がして、ゼクスはギリリッと拳を握りしめた。
カチヤたちのその反応で、改めて自分がまずい状況に置かれていたことを再確認するリアーヌ。
「それで……――」
そこまで話してリアーヌは急に嫌な予感に襲われた。
(……あれ? これ私が「ユリアにレオンが王子だってバラしたって疑われたんです!」って言っても大丈夫なやつ……? 一応、この人たちは隠してる情報な気がするんだけど……え、でも好きに説明して良いって言ってて……――それすらも罠だったらどうしよう⁉︎ 「それを知ったからには……」とか言ってうちが取り潰されちゃうかも⁉︎)
「リアーヌ……平気かい? 無理はしないで?」
急に顔色を悪くしたリアーヌに、ゼクスはそっと寄り添うと、その身体を労わるように背中を優しく撫でた。
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