成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「ユリア・フォルステルやその周辺に私の素性を話したことがあるか?」
「……ありません」

(ーー無いよね? 大丈夫だよね⁇ そもそもレオンのこと喋るのはビアンカやレジアンナたちか家族……あとはゼクス様だけだし……ーーうん。 絶対に私は口を滑らしたりしてない!)

「ウソです」
「ーーこの人の言葉の方がウソですっ!」

 エーゴンの態度に腹が立っていたリアーヌは、とうとう指を突きつけながら不満をあらわにする。

 ――そんなリアーヌの態度に顔を見合わせるレオンたち。
 そしてフィリップが軽く首を振りながらレオンに話しかけた。

「ーーレオンもういいんじゃ無いか?」

 子爵家ーーとはいえ、その家は今もなお正しく王家の血が流れている王族の分家筋に当たる由緒ある家だ。
 しかも最近の勢いは凄まじく、すでに派閥同士のパワーバランスが逆転しているところすら出始めているほどの家だ。
 ーーレオンや自分の今後のことを考えても、完全に敵に回られるわけにはいかない家だった。

「だが……」
「当初の目的は果たした。 彼女は情報漏洩はしていない――ならば速やかに返すべきだ」
「……情報漏洩?」

 リアーヌは急に目の前で始まった会話に首を傾げながらも、解放されるかもしれない……⁉︎ と少しだけ安堵の息を漏らした。

 あまり納得がいっていないのか、大きく鼻を鳴らしたレオンがリアーヌから距離を取る。
 そんなレオンに肩をすくめながら、フィリップはリアーヌに簡単な説明をしていく。

「ーーこの間、また一騒動あってね……知ってるかな?」
「……ーー正直、その関連は毎日のようになにかしら聞きますので……」
「あー……確かに? ――君たちが集団で具合を悪くした日があっただろう?」
「あー……ーー嫌な事件でしたね……?」

 リアーヌはあの時は一人矢面に立たされたことを思い出し、ギュッと顔をしかめた。

「……その日も彼女はレオンの教室に現れたんだ」
「うわぁ……」
「……いつも入るはずのクラリーチェ様がいなかったからなのか、その日の彼女はとても饒舌だったらしい」
「……はぁ」

(……まるでいつもは饒舌じゃ無いみたいな言い方するじゃん……ーーあの人、人の話なんか理解できてないほどには自分の話ばっかり言ってたってウワサだけど……?)

「ーーだからなのか……その際、ユリア嬢がレオンのについて口を滑らせたんだ」
「……ーーつまり?」
「ーー直接的な言葉は、それを口にする前にそこのエーゴンが押し留めたんだけど……ーー“私なら貴方の役に立てる”“ずっと望んでいることが叶う”――などとのたまってくれてね?」
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