622 / 1,038
622
しおりを挟む
「……ウソです」
エーゴンの静かな宣言にリアーヌ自身も納得するしかなかった。
(まぁ、そうなりますよ。 だってウソだからね!)
「……リアーヌ嬢、こんなことすぐに終わらせるべきだと思うだろう?」
まるでたしなめるかのようなフィリップの言い方に、リアーヌはその頭にカッと血が登ったのを自覚した。
「ーーそっちに言われたくは無いんですけど?」
ギロリとフィリップを睨みつけながら答えたリアーヌに、困ったように顔を見合わせるフィリップたち。
そしてレオンが再び口を開いた。
「……正直に答えてほしい」
「……ーー知ってます」
「口に出して言ってみてくれないか?」
なんの譲歩もせずただ一方的に自分たちの都合だけを押し付けるレオンたちの態度にリアーヌの苛立ちや怒りも爆発寸前だった。
(クソ)「レオンハルト」
(人でなし)「ディスティアス」
心の中で思い切り罵りながら答えた。
「……誰に聞いた」
「……誰?」
「ああ。 執事か? 両親か? それともーー他の人物だろうか?」
「それは――」
と、思い出そうとしたリアーヌだったが、あることに気がつき、その喉からヒュッと息を呑む音が聞こえた。
(……え? これーー)
「……どうした? なぜ答えない?」
「それ、は……」
(待って……? 私これ答えられる……?)
リアーヌは嫌な予感をひしひしと感じながらも、ゆっくりと答えを紡いでいく。
「その……両親からだったような……? 執事だったのかも……?」
「ーーウソです」
(ですよねー⁉︎ どうしよう……この場合、なにが正解なのよ⁉︎)
「ーーもう一度聞く。 君は誰に私のことを聞いた? ……親戚からなのか?」
レオンはリアーヌに――ボスハウト家が王妃の派閥に属している、もしくは現国王がリアーヌに守護のギフトをコピーさせ、王族入りさせるのでは無いかーーそうなってしまった場合、自分は王座に座れなくなるのではーー? と、そんな未来が来てしまうことを恐れていた。
すでに王妃に取り込まれているならば、それなりの対応をしなくてはいけないし、国王が王族入りさせることを視野に入れて自分の情報を漏らしたのであれば、そちらとの意思の疎通や根回しなども必要になってくる。
だからこそ、リアーヌが言い淀む情報の出所を探りたかった。
ーーのだが……
「ーーいや、それは無いですね?」
そう、あっけらかんとリアーヌが言い放つほどには、ボスハウト家と王家に接点はーーリアーヌの知る限りーーありはしなかった。
「ーーウソです」
「……は?」
エーゴンの答えに、リアーヌは驚愕に目を見開きながらそちらを見つめ返す。
エーゴンの静かな宣言にリアーヌ自身も納得するしかなかった。
(まぁ、そうなりますよ。 だってウソだからね!)
「……リアーヌ嬢、こんなことすぐに終わらせるべきだと思うだろう?」
まるでたしなめるかのようなフィリップの言い方に、リアーヌはその頭にカッと血が登ったのを自覚した。
「ーーそっちに言われたくは無いんですけど?」
ギロリとフィリップを睨みつけながら答えたリアーヌに、困ったように顔を見合わせるフィリップたち。
そしてレオンが再び口を開いた。
「……正直に答えてほしい」
「……ーー知ってます」
「口に出して言ってみてくれないか?」
なんの譲歩もせずただ一方的に自分たちの都合だけを押し付けるレオンたちの態度にリアーヌの苛立ちや怒りも爆発寸前だった。
(クソ)「レオンハルト」
(人でなし)「ディスティアス」
心の中で思い切り罵りながら答えた。
「……誰に聞いた」
「……誰?」
「ああ。 執事か? 両親か? それともーー他の人物だろうか?」
「それは――」
と、思い出そうとしたリアーヌだったが、あることに気がつき、その喉からヒュッと息を呑む音が聞こえた。
(……え? これーー)
「……どうした? なぜ答えない?」
「それ、は……」
(待って……? 私これ答えられる……?)
リアーヌは嫌な予感をひしひしと感じながらも、ゆっくりと答えを紡いでいく。
「その……両親からだったような……? 執事だったのかも……?」
「ーーウソです」
(ですよねー⁉︎ どうしよう……この場合、なにが正解なのよ⁉︎)
「ーーもう一度聞く。 君は誰に私のことを聞いた? ……親戚からなのか?」
レオンはリアーヌに――ボスハウト家が王妃の派閥に属している、もしくは現国王がリアーヌに守護のギフトをコピーさせ、王族入りさせるのでは無いかーーそうなってしまった場合、自分は王座に座れなくなるのではーー? と、そんな未来が来てしまうことを恐れていた。
すでに王妃に取り込まれているならば、それなりの対応をしなくてはいけないし、国王が王族入りさせることを視野に入れて自分の情報を漏らしたのであれば、そちらとの意思の疎通や根回しなども必要になってくる。
だからこそ、リアーヌが言い淀む情報の出所を探りたかった。
ーーのだが……
「ーーいや、それは無いですね?」
そう、あっけらかんとリアーヌが言い放つほどには、ボスハウト家と王家に接点はーーリアーヌの知る限りーーありはしなかった。
「ーーウソです」
「……は?」
エーゴンの答えに、リアーヌは驚愕に目を見開きながらそちらを見つめ返す。
0
お気に入りに追加
344
あなたにおすすめの小説
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
もしもし、王子様が困ってますけど?〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
前世コミュ障で話し下手な私はゲームの世界に転生できた。しかし、ヒロインにしてほしいと神様に祈ったのに、なんとモブにすらなれなかった。こうなったら仕方がない。せめてゲームの世界が見れるように一生懸命勉強して私は最難関の王立学園に入学した。ヒロインの聖女と王太子、多くのイケメンが出てくるけれど、所詮モブにもなれない私はお呼びではない。コミュ障は相変わらずだし、でも、折角神様がくれたチャンスだ。今世は絶対に恋に生きるのだ。でも色々やろうとするんだけれど、全てから回り、全然うまくいかない。挙句の果てに私が悪役令嬢だと判ってしまった。
でも、聖女は虐めていないわよ。えええ?、反逆者に私の命が狙われるている?ちょっと、それは断罪されてた後じゃないの? そこに剣構えた人が待ち構えているんだけど・・・・まだ死にたくないわよ・・・・。
果たして主人公は生き残れるのか? 恋はかなえられるのか?
ハッピーエンド目指して頑張ります。
小説家になろう、カクヨムでも掲載中です。
婚約者の断罪
玉響
恋愛
ミリアリア・ビバーナム伯爵令嬢には、最愛の人がいる。婚約者である、バイロン・ゼフィランサス侯爵令息だ。
見目麗しく、令嬢たちからの人気も高いバイロンはとても優しく、ミリアリアは幸せな日々を送っていた。
しかし、バイロンが別の令嬢と密会しているとの噂を耳にする。
親友のセシリア・モナルダ伯爵夫人に相談すると、気の強いセシリアは浮気現場を抑えて、懲らしめようと画策を始めるが………。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる