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「ーーその……だって、ええと……そのネジってまだ一回しか使ってなくて、しかも……すごく限定的な使用だったでしょ? ……なのにみんな「凄い」「欲しい!」ってなってるの……その、だなぁーと思って」

 リアーヌは多少覚束なくはあったが、自分一人で言葉をぼかし「一回しか使ってなくて、しかも守ったの国じゃなくて村じゃん?」という事実を告げ、その上で、先ほどの発言は「“意味不明”ではなく“不思議”という意味ですよ」と主張してみせた。

(――わりと上手にできたのでは⁉︎)

 リアーヌは少しその顔に自信をのぞかせながら隣に視線を流した。
 その視線を受けクスリと笑いながら大きく頷くビアンカ。
 ――こういったことを苦手としているリアーヌにとっては、完璧ともいえる返答だった。

「ーーそ、れは……」
「けれど……その、とても昔からある有名なーーですから、ね?」
「安心ーーは、しますわよね……?」

 友人たちが目配せしながら意見を言い合う。
 リアーヌの意見を聞いてジッと考え込んでいたレジアンナも重々しい仕草で頷きながら口を開いた。

「……その視点は盲点だったわーーけれど……私たちにはなんの決定権もないのが辛いですわね……」

 レジアンナはそう困ったように笑いながら、家の意向には逆らえないことを揶揄して肩をすくめた。

 この国の初代の国王がこの地に建国をした際、数々の外敵から王や仲間、そして国そのものを守り続けだと伝えられている、守護のギフトーー
 現在の王族でさえも求めるそのギフトは、たとえその持ち主の言動や態度にの難があったとしても、そう簡単に諦められるものではなく、フォルステル家と距離を置くーーつまりは“『守護』のギフトの力を必要としない”と、明確に表明しているのはボスハウト家、ラッフィナートそしてレオンが現在在籍しているとされるパトリオート家だけだった。
 ーーただし、ラッフィナートは未だにフォルステル家と良好な関係を保っており、パトリオート家はレオンのために存在しているような家なので、完全に距離を取っているのはボスハウト家ただ一つであった。

(それなんだよねぇ……ーーレオンがこのまま王太子、そして国王を目指すんだったら、あのギフト無いとうちの国戦争に突入しちゃう気がするんだけど……ーーあのエピソードってレオンルート以外の時、どういう扱いになるんだろう……?)

 うーん……と、これからのことについて考えを巡らせていると、ザワザワザワッと廊下のほうが俄かに騒がしくなった。
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