成り上がり令嬢暴走日記！

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　その言葉でサンドラはその女生徒がリアーヌの知り合いで、リアーヌのギフトの事情を知っているのだと思い込んでしまった。
　そこで「どこかで待つなら伝えておきますよ」と声をかけたのだが、その女生徒からの答えは「別に騎士科の生徒じゃないから、明日でも問題ないの。　ありがとう」と言ったもので、そう言ったきりその女生徒はその場から立ち去っていったのだったーー

「……だから私、すっかり忘れてて……でもエドガーから最近そういう人たちが多いって聞いてて……ーーそれでようやくその時のことを思い出して……ーーごめんなさい！　私ちゃんと否定しなきゃいけなかったのに……」

　涙目になりながら唇を噛みしめ、後悔を滲ませるサンドラの肩をエドガーがそっと優しくさすった。

　「ーー顔は覚えている？　もう一度会えばその女生徒が誰だかわかるかな？」
「……あ、名前分かります」

　ゼクスの質問にサンドラは少し気まずそうに答えた。

「えっ？」
「あの……名乗られはしなかったんですけど、後日……ーー有名人ですし」
「有名人……？」

　サンドラの答えにゼクスやオリバーだけではなく、ザームやエドガーまでもが視線を交わし合っている。

「はい。　ユリア・フォルステル様です」

（……主人公？）

「ーー間違いない？」

　大きく目を見開きオリバーと視線を交わし合うゼクスは、念を押すようにサンドラにたずねた。

「はい……間違いありません。　あの後名前や貴族だってことを知って、ああ、貴族なんだったらやっぱりご友人だったんだ……って納得したので……ーーあの申し訳ありませんでした！」

　そこまで話したサンドラは、再び顔を歪めると勢いよく頭を下げる。

「……肯定はしていないーーならば最悪な事態ではないよ」
「ーー次からはしっかりとした対応をしていただきます」
「は、はいっ……！」

　ゼクス、オリバーと声をかけられ、サンドラは背筋を伸ばしながらもどこかホッとしたような様子で返事を返した。


「しかし……それがいつのことだか覚えている？」
「えっと……声をかけられたのは二週間くらい前です」
「ーー三週間は経っていない？」
「……たってないとーー多分、金曜日だったと思うんです」
「そう……」

　サンドラにいくつかの質問を投げかけたゼクスはなにやら思案げな顔つきでオリバーと視線を交わし合う。

「……早すぎます」

　ポツリと漏らしたオリバーの言葉に、リアーヌはこてりと首を傾げた。

「……三週間もあったらうわさ話くらい広がってしまうような……？」
「うわさ話になるのが、早すぎるんです」

　オリバーからの訂正に、リアーヌは今度は反対側にこてりと首を倒し、頭の周りに疑問符を浮かべた。
　そんなリアーヌにオリバーは苦笑を浮かべながら説明する。