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 面白くなさそうに口を窄めるレジアンナ。
 そんな彼女をあやすように、ギュッと手を握り締めながら、フィリップはレオンに向かって口を開いた。

「ーー君の見立ては?」
「……彼女が教養学科でやっていけるかどうかの見立てか?」
「ああ」
「……時期尚早」
「ーー様々な思惑を考えた上で、だぞ?」
「その上で、だ。 早すぎる。 ……手を貸せばなんとかなるレベルの話ではない。 黙って頷くことすらできない子供と同等か、それ以下だ」

(……ん? あれ、今主人公の話してる? え、主人公はガキ以下って話を攻略対象者たちがしちゃってるます……⁇)

「そこまでか……ーー私としては教養学科の方が好都合なのだが……ーーフォルステル家のお手なみに期待、か……」

(ーー待って? え……学園に通い出してからマナーや立ち振る舞いの勉強なんて、しなかった気がするけど……ーーそれともゲームに描かれてないところで、ちゃんとやってた説……?)

 混乱するリアーヌを置き去りに会話は進んでいく。

「ーー付け焼き刃で何とかなるほど、教養学科共は甘くはないと思いますが……」

 そこまで言ったビアンカはリアーヌを視界に入れ、大きなため息をついた。

(ーーなんとかしたこと、すごい根に持つじゃん……)

「そうよ、そこまで甘くないわっ‼︎」

 ビアンカだけではなくレジアンナからも言われ、リアーヌは居た堪れなさから「すみませぬ……」と小さく謝罪していた。
 その言葉で、自分の失言に気がついたレジアンナは、慌てて自分の言葉を否定する。

「ち、違……ーー私そんなつもりじゃ……」

 言葉を詰まらせながら、オロオロと言葉を探すレジアンナに、ビアンカは気の毒そうな視線を向けると、そのフォローをするためリアーヌに向かって鼻を鳴らした。

(……喧嘩を売るつもりなら買うことも辞さないが……?)

 思わずビアンカを睨みつけたリアーヌだったが、続けられた言葉に、その怒りは急速に萎んでいった。

「ーー貴女、一年前の自分をどう感じていて?」

(……うん。 喧嘩とかよくないと思うから、早くその話題終わらせよ?)

 どう頑張っても勝てないであろう話題に、リアーヌはバツが悪そうに顔をしかめた。
 そして答えを促すようなビアンカの視線に、大きなため息とともに答えを吐き出した。

「ーー甘かったと思う。 ……正直、授業だけならなんとかなると思ってたし……」
「なってなかったじゃない……」
「ならなかったんですよねぇ……?」
「ーーまぁ、試験をこなしてAクラス入りを果たす程度の度胸があったことだけは認めて差し上げますわ?」

 リアーヌはビアンカからの当て擦りに、ヤケクソのように胸を張って答える。
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