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 ……リアーヌたちからしてみれば、いきなりのカミングアウトに次ぐカミングアウトに驚くなという方が無理な話なのだが。
(初めてお茶会で挨拶した後に、オリバーさんが詳しく説明してくれて本当に良かった……公爵家の娘が伯爵に嫁ぐわけないだろ! そこがバレたらすぐにレオンの身分にまで辿り着くんだよっ!)(ーー教わっていなかったらカップを3つは取り落とすところでしたわ……)というのが、その時の嘆きだーー


「クラリーチェ様はお優しいすぎますわ⁉︎」
「そうです! ああいった方には少々こらしめが必要かとっ!」

(……きっと私の時にもそう言ってレジアンナのイエスマンしてたんだろうな……)

 レジアンナの機嫌を伺うようにレジアンナが求めているであろう言葉をかける少女たちにリアーヌはこっそりとため息をつきながら、オレンジジャムが爽やかに香るクッキーを頬張った。

「……リアーヌは乗り気じゃありませんの⁉︎」

 一人自分のの話に全く賛同せようとせず、曖昧に相槌を打つでもないリアーヌに、レジアンナはその不満を隠そうともせずにムッとした表情で話かけた。

(乗るわけないだろ⁉︎ 私にとってもレジアンナたちにとってもそれはほぼ死亡フラグですからね⁉︎)

 と、口にできないリアーヌは紅茶でクッキーを流し込みながら素早く言い訳の言葉を考える。

「……いやだってーー“末端も末端の王族に嫁ぐ”……のところが間違いだったら、レジアンナとクラリーチェ様以外は確実にヤバくない?」
「そ、れは……」

 リアーヌの指摘に口ごもるレジアンナ。
 その言葉によそから援護射撃が入る前に、ビアンカがフォローを装い、リアーヌに対する援護射撃を行う。

「けれど主だった王族の皆様は、すでに年齢が合わないか、正式な婚約者様がいらっしゃるわよ?」
「……噂は噂じゃん?」

(少なくとも主人公が名前も知らない王族に嫁いだーーなんてエンド無いんだって!)

 レジアンナと友好な関係を築いているいま、レジアンナがユリアにした場合、自分にまで被害が及ぶのを恐れているリアーヌはさらに言葉を重ね、レジアンナの考えを変えさせようとした。

「しかも側妃や妾の可能性だってあるんでしょ? その相手が陛下だったらどうするの⁇ 流石に「陛下の側妃にイタズラしてましたー⭐︎」は、ヤバくない?」
「そ、れは……」
「さっきビアンカが言ってたじゃん。 今は良くても十年後、二十年後はどうなってるか分からない、って……」

 その言葉にレジアンナは、ぐぬぅ……と、口ごもり悔しげにリアーヌを睨みつけた。
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