成り上がり令嬢暴走日記！

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　そう思いながらも、言葉にすることは出来ず、リアーヌはその考えを紅茶と共に飲み込んだ。

（……せめて『貴女の場合、派閥作らないなら、誰かの派閥入らないの、ちょっとおかしいんだよ？』って教えてあげれる人がいれば……ーーお助けキャラは⁉︎　……あ、ダメだ。　あの娘こ平民だったわ……ーーあれ？　待って⁇　ゲームだと、攻略してるつもり無くても、ある程度好感度の高い攻略キャラから、お茶会のお誘いとかバンバン貰ってたけど……ーーちゃんとした断り方してた……？　ーー元主人公ゲームユーザーの私は知りませんでしたけど……⁇）

「……ーーですがそうなりますと、王家に嫁ぐことも難しくなってしまいそうですけれど……？」

　その発言に、一同は顔を見合わせて気まずそうに視線を逸らし合う。
　外聞の悪い噂に巻き込まれてただけでも汚点となり、婚約破棄にすら繋がってしまう社交界で、そんな噂まみれの令嬢が王族の一員とするなど、彼女たちの常識では到底許容できる者ではなかった。

「ーー側妃や妾として囲われるんじゃない？」

　レジアンナが思い切りシワを寄せた鼻を鳴らしながら、面白くなさそうに言い捨てた。
　苦笑を漏らしながらもビアンカが頷きながら同意の言葉を口にする。

「ですわね。　どなた様に嫁がれるかは知りませんけれど、王族には取り込むのは決定事項でしょうね」
「……そうなの？」
「守護のギフトよ？　よその家に渡せないわよ……ーー万が一にもその家がクーデターを仕掛けたら？　王家は守護のギフト持ちの敵に回るってことよ⁇」
「それはそうだけど……」

　現実的じゃ無いよ……と視線で続けたリアーヌに、ビアンカも肩をすくめて同意しながらも否定の言葉を口にする。

「たとえ可能性が低くても、それは“今”の話だからーーそれから先、十年後、二十年後……事情が変わっていないとどうして言えるの？」
「そ、れは……」
「王家はその不安要素を捨て置かないはずよ」
「ええ……？」

（だってこの世界……乙女ゲームの世界なのに……？　あれ⁇　なんでこんなに夢が無いの……？）

　困惑しきりのリアーヌをよそに、ビアンカの話に大きく頷き返しながらレジアンナが口を開いた。

「ですわね。　ーーけれど……末端も末端の王族に嫁ぐんでしたら……ーーちょっとぐらいいたずらしたって許されると思いませんこと？」
「ーーーーえ？」

　妖艶に微笑みながら発せられたレジアンナの言葉に戸惑いの言葉をあげたのはリアーヌだけだった。
　多くの者たちがワッ！　と歓声をあげ、ビアンカやクラリーチェも困ったように微笑んで、ことの成り行きを見守っているだけだった。