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しおりを挟むーー食事を始めながらリアーヌはもうすぐやってくる新学年へ思いを馳せていた。
リアーヌにとって、やってくるのはただの新しい一年ではない。
万が一が起これば家族にまで被害が及部かもしれない騒動に巻き込まれかねないのだ。
(春の休暇が終わればすぐに入学式……ーーそしてその日が、『ギフト』というゲームがスタートする日……)
その日を睨みつけるように、何もない空中をに険しい顔を向けるリアーヌ。
そして気合いを入れるためなのか、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「そんなに食いたかったのかよ?」
その様子をどう捉えたのか、ザームが呆れたように声をかけた。
「ーーえ?」
「……あんだけあるんだから俺だって食いきれねぇって……」
呆れたようにゼクスが見つめる視線の先には、飴にコーティングされ、艶やかに光を反射しているプチシュータワーがそびえ立っていたーー
「……ーーちがっ⁉︎」
(御馳走を前に生唾飲み込んでたわけじゃないもん⁉︎ 確かに美味しそうだけど! 早く食べたいけどっ! でも今のはちゃんとシリアスやってた結果なんですけど⁉︎)
「ーー遠慮しないでたくさん食べなさいね?」
しかしザームの言葉で大いに勘違いをしてしまった両親や使用人たち、ゼクスまでもが、リアーヌに生ぬるい笑顔を向け、みんなの気持ちを代償するかのように言葉を紡いだ母の姿にリアーヌは)もう自分が何を言ってもムダだな……)と、悟りにも似た感情を抱いていた。
そして投げやりな笑顔を浮かべると、少々乱暴に目の前のご馳走にフォークを突き立て、少々豪快に頬張って見せたのだった。
(食べてやるもん! 私食べるの好きだもんっ! ーーでも本当にさっきのはそういう感情じゃなかったんだからーっ‼︎ ーーあ、これ本当に美味しい……)
無言で食べ進めるリアーヌは、その食事と美味しさに徐々に機嫌を回復させていき、デザートに手をつける頃にはかなりの上機嫌になっていたのだったーー
◇
「……いまだに納得がいかないわ」
新しい年、新しい教室の中、新しい席に着いたビアンカは、憮然とした顔をリアーヌに向けながら面白くなさそうな声で言った。
「……頑張った結果だもん」
ボソボソと返すリアーヌを見つめ、信じられないものを見たかのようにビアンカは大きく首を左右に振りながら呆然と呟く。
「ーー貴女が四位……?」
「マナーや立ち振る舞い含めた総合点はギリッギリだったけどね!」
(なりふり構わず点数取りに行って正解だった! あの日の私グッジョブ!)
「そこは威張るところじゃ無いわよ……」
「ギリギリでもSクラスはSクラスなんだし、ちょっとぐらい自慢させてよぉ」
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