成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「やっぱり、期間じゃなく柵がいっぱいになり次第移動にすべきなんじゃないかな……?」

 ゼクスがやんわりとした言葉で提案するが、その内心では全力でその提案を受け入れてほしいと願っていた。

「でも……」

 その言葉に答えを濁すリアーヌ。
 その提案が現実的であることは理解出来ていたが、その方法が公平性に欠けていると、どうしても納得することができなかったのだ。

「満杯になったら移動させることになったら、期間にバラ付きが出ちゃうじゃないですか? 友達は一ヶ月で私は一週間ーーなんて話、聞いたら不公平だなって思われちゃう……」
「……そこは、貴族も平民も満杯になってしまったら移動ってことにしようよ……」

 ゼクスのそれらしい説得に、不満げではあったものの、一応の納得を見せるリアーヌ。
 その姿に、ゼクスはさらに説得しようと言葉を重ねた。

「それにこのまま移動させないでおくと、あそこが柵だらけになって、カギと柵の迷路が出来上がってしまうよ?」
「ーーそ、れは……ちょっと面白そうですね?」

 そう言って瞳をキラキラと輝かせるリアーヌに慌てて待ったをかける。

「いやいやいや! お城からすぐに苦情が来るよ? 迷路なんて、人が隠れやすい上に、捕まったって簡単に言い訳ができちゃうだろ?」
「あー、確かに……」

 途端につまらなそうな顔つきになったリアーヌにビアンカはクスリと笑いながら声をかけた。

「ご両親も交えてもう一度よく話し合ったら? 案外いい案が思いつくかもしれませんわよ?」
「……かも?」

(不公平な感じがして、反対一択だったけど、話してみたら納得できるのかも……? ーーさっきのゼクスの言い分もある意味では公平なわけだし……ーー大体あの二人が、花園の評判を下げるような案を採用するわけないんだから、どうとでもなっちゃうのか……)

「ーーあ、鍵で思い出した! ビアンカ後で鍵に名前書いて? 私が買うから」
「……は?」

 急に話題を変えたリアーヌに対する戸惑いと、その言葉の内容の意図が理解できず、少々ご令嬢らしからぬ声を発してしまうビアンカ。

「ーーえぇと……?」

 すぐに自分の失態に気がついたビアンカは、軽く咳払いをしながら直前の声を無かったものとして扱うと、言葉の真意をたずねる為に視線で疑問を投げつけた。
 そんな視線に気がついたリアーヌは少し拗ねたように顔をしかめながら、ズビシッとビアンカに人差し指を突きつけながら口を開く。

「私、先生に聞いたんだから! ビアンカのSクラス入りは確実だって!」

 そんなリアーヌの人差し指を叩き落としながら「指をささない」と眉を吊り上げるビアンカ。
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