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「えっと……例えば空き地に大きなテントとか貼って、そこに子供たちを集めて、本を読んであげたり遊ばせたり、年が大きい子は読み書きとか計算を教える所……と言いますか……」
(託児所って言って理解してくれたらどれだけ楽か……)
リアーヌは心の中でボヤくように付け加える。
「テントで遊ばせる……?」
「小さい子供を預けられる、預けておけば読み書き計算教えてくれるーーってなれば、多少の月謝を払ってでも利用する人はいるんじゃないかなって……?」
「月謝……」
「ーーで、そうなれば、おばちゃんたちが働きに出れる時間も増えるんじゃないかなって……」
「……井戸端会議の時間が長くなるだけじゃない?」
ゼクスは呆れたように、リアーヌにからかいの視線を向けながら言った。
「……ーー仕事しながら会議するんじゃないですかね⁇」
リアーヌはゼクスから視線を逸らしながら、とぼけるように答えた。
「ーーま、空き地でテント……ってことなら、そこまで費用はかからないし、月謝を取るなら人を雇っても赤字にはならない可能性が高い……ーー悪くはない話かな? ゆくゆくは作る気でいたからね、その下地になってくれそうだ」
大きく頷きながら乗り気そうな様子のゼクスに、リアーヌは少し目を見開いていた。
(意外。 学校建てるより道を通す方が優先! 売れるもの作る方が優先! 金がかかるものより儲かる物‼︎ って考えなんだと思ってた……)
「……意外って顔してる?」
リアーヌの表情に、芝居がかったように顔をしかめ、拗ねたようにたずねた。
その言葉にリアーヌは苦笑いを浮かべながら口を開く。
「……もうちょっと後でもいいんじゃ……ってお考えなのかと……?」
そう答えながら、リアーヌはごまかすように前髪をいじりながら答えを濁した。
「ーーま、俺ももう少し後でいいと思ってたんだけど……代官としてこの村で働きたがる人がねぇ……? 無能でも困るし、野心がありすぎても困るーーで、ちょっと難航しててね? この村の人間を育てるって話も出たんだけど、ディーターとディルク以外は、例え書類を介してでも貴族とやりとりするのを恐れていて……」
「あー……」
(事情を考えれば無理もないと思うけど……)
「流石に村長と代官を兼任はさせられないしさぁ……」
「むしろやり合う立場ですもんね?」
(村代表とラッフィナートの代弁者が同一人物は不味かろうて……)
「ね? 結果として、俺VS村の人々って構図になって……ーーもう代官置く意味無くなっちゃうだろ?」
疲れたように息をつきながら言うゼクスに、リアーヌは肯定するように苦笑いで肩をすくめるのだった。
(託児所って言って理解してくれたらどれだけ楽か……)
リアーヌは心の中でボヤくように付け加える。
「テントで遊ばせる……?」
「小さい子供を預けられる、預けておけば読み書き計算教えてくれるーーってなれば、多少の月謝を払ってでも利用する人はいるんじゃないかなって……?」
「月謝……」
「ーーで、そうなれば、おばちゃんたちが働きに出れる時間も増えるんじゃないかなって……」
「……井戸端会議の時間が長くなるだけじゃない?」
ゼクスは呆れたように、リアーヌにからかいの視線を向けながら言った。
「……ーー仕事しながら会議するんじゃないですかね⁇」
リアーヌはゼクスから視線を逸らしながら、とぼけるように答えた。
「ーーま、空き地でテント……ってことなら、そこまで費用はかからないし、月謝を取るなら人を雇っても赤字にはならない可能性が高い……ーー悪くはない話かな? ゆくゆくは作る気でいたからね、その下地になってくれそうだ」
大きく頷きながら乗り気そうな様子のゼクスに、リアーヌは少し目を見開いていた。
(意外。 学校建てるより道を通す方が優先! 売れるもの作る方が優先! 金がかかるものより儲かる物‼︎ って考えなんだと思ってた……)
「……意外って顔してる?」
リアーヌの表情に、芝居がかったように顔をしかめ、拗ねたようにたずねた。
その言葉にリアーヌは苦笑いを浮かべながら口を開く。
「……もうちょっと後でもいいんじゃ……ってお考えなのかと……?」
そう答えながら、リアーヌはごまかすように前髪をいじりながら答えを濁した。
「ーーま、俺ももう少し後でいいと思ってたんだけど……代官としてこの村で働きたがる人がねぇ……? 無能でも困るし、野心がありすぎても困るーーで、ちょっと難航しててね? この村の人間を育てるって話も出たんだけど、ディーターとディルク以外は、例え書類を介してでも貴族とやりとりするのを恐れていて……」
「あー……」
(事情を考えれば無理もないと思うけど……)
「流石に村長と代官を兼任はさせられないしさぁ……」
「むしろやり合う立場ですもんね?」
(村代表とラッフィナートの代弁者が同一人物は不味かろうて……)
「ね? 結果として、俺VS村の人々って構図になって……ーーもう代官置く意味無くなっちゃうだろ?」
疲れたように息をつきながら言うゼクスに、リアーヌは肯定するように苦笑いで肩をすくめるのだった。
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